出版社内容情報
「自分が死ぬとしたら人生には意味がない」? 客観的世界が仮象であるならば、違った転換が可能になる。著者が積年の問題に、遂に解答をあたえる。
内容説明
過去・現在・未来という時間の様相は、言語によって作られた概念である。世界はそのつど湧き出しては消えていく“いま”の連鎖なのであり、客観的世界も客観的時間も仮象にすぎない。ならば、「私」が死ぬとは、少なくとも、私が客観的世界から消滅することではなくなる。若き日から「自分がいずれ死ぬとしたら人生には何の意味もない」という呪縛に捉われてきた著者が、本書でついに「死」という問題そのものに対峙する。そして「私の死」の裏側にはりつく過酷な意味から脱却し、「私」は単に人間として死んで終わりであるような存在ではないという地点に達する。著者の哲学的思考の到達点。
目次
第1章 時間と「時間」という概念(現在・過去・未来は時間の必然的な存在性格であるのか?;空虚な時間;マクタガート;時間の実在と対象の実在;文法的優位;時間と実在;“いま”の長さ;物質の湧き出しと“いま”)
第2章 過去が「もうない」とはいかなることか?(想起と過去;大森荘蔵の時間論を批判する;超越論的観念論)
第3章 現在が「ある」とはいかなることか?(アリストテレスの“いま”;アウグスチヌスの現在中心主義;自由な行為の時)
第4章 未来は「まだない」のか?(「まだない」とはいかなることか?;予測された未来とは過去における未来である;未来と無知;神の決定と無知;超越論的仮象)
第5章 「私」の死(超越論的統覚と「現存在の感じ」;物自体と英知体;永井均の「カント原理」について;超越論的統覚と「私」の死;「不在」から「無」へ)
著者等紹介
中島義道[ナカジマヨシミチ]
1946年福岡県生まれ。東京大学法学部卒。同大学院人文科学研究科修士課程修了。ウィーン大学基礎総合学部修了(哲学博士)。電気通信大学教授を経て、現在は哲学塾主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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