出版社内容情報
第二次大戦末期二〇万人もの命が奪われた沖縄戦。本書はその惨状を従軍記者が克明に綴った記録だ。現代史第一級の史料を初文庫化。解説 石原昌家
内容説明
第二次世界大戦における最激戦地の一つ沖縄。軍民合わせ20万人もの尊い命が犠牲となった。本書のタイトルの「鉄の暴風」とは、1945年3月26日から3カ月間にわたり途絶えることなく続いた艦砲射撃や空爆のすさまじさを表現した言葉だ。1950年の初版刊行以降、沖縄戦を象徴する言葉として定着した。地形が変わるまで打ち込まれた砲爆弾、壕に逃げ込んだ住民を炙り出す執拗な火炎放射、そして民間人にまで及んだ自死の強制。本書は行動を軍とともにした記者たちが自らも体験したその壮絶な戦場の実態を、生存者をたずね克明に記録したもの。現代史第一級の史料を初文庫化。
目次
第1章 嵐の前夜
第2章 悲劇の離島
第3章 中・南部戦線
第4章 姫百合之塔
第5章 死の彷徨
第6章 北山の悲風
第7章 住民の手記―板良敷朝基記
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真琴
9
20万人もの尊い命が犠牲になった沖縄戦が、どれだけ悲惨なものだったのか。米軍上陸からの住民の側から見た沖縄戦を体感した。帯文にあるように「日本人必読の書」で、後世に伝え続けなければならない貴重な資料です。(1950年沖縄タイムス社より初版発行)2024/07/02
jam
2
新聞記者によるルポなのだが、やたら句点が多くてかなり読みにくい。しかし淡々とした筆致で書かれているがゆえに、臨場感と恐怖と絶望感が伝わってくる。米軍は最初から民間人には危害を加えない、人道的に扱うと言っていて、実際にそうだったようだが、それが住民には伝わらず、日本軍は住民を盾にしようとして、まったく守らないので、沖縄の住民は10万人以上と言われる犠牲者を出すことになった。今も米軍基地の負担を沖縄に背負わせていることを考えてみても、「日本人必読の書」(帯文)であることは間違いない。2025/04/06
圓子
2
戦争や虐殺は自然災害じゃないので、かってにおこるものではない。殺すのも生かすのも人の意思。悲壮感よりもばからしさ。戦闘経過概要に込められた高揚感に後頭部から殴られたみたいな気持ち悪さを覚える。渦中にいたというのはこういうことなのだろうか。2024/09/13
ひめの
2
1945年3月から約3ヶ月にわたって行われた沖縄戦を沖縄住民の証言を元に戦記として書かれた本。戦後間もない1950年が初版で代々読み継がれてきた名著。兵士というよりは沖縄の住民に焦点がおかれていて日米の戦闘に巻き込まれ、凄惨な毎日を強制されたことが詳細にかかれている。とても言葉には表しきれない気持ちになる。全編通してこの模様を伝えようという強い意思が感じられ、胸打たれた。極限の中で、投降と自決に悩み、飢餓に耐える心境、日本軍を崇めたくなる気持ちも少しはわかった気がした。間違いなく後生に伝えないといけない本2024/06/21
天茶
1
読みかけ61p