出版社内容情報
第二次大戦末期二〇万人もの命が奪われた沖縄戦。本書はその惨状を従軍記者が克明に綴った記録だ。現代史第一級の史料を初文庫化。解説 石原昌家
内容説明
第二次世界大戦における最激戦地の一つ沖縄。軍民合わせ20万人もの尊い命が犠牲となった。本書のタイトルの「鉄の暴風」とは、1945年3月26日から3カ月間にわたり途絶えることなく続いた艦砲射撃や空爆のすさまじさを表現した言葉だ。1950年の初版刊行以降、沖縄戦を象徴する言葉として定着した。地形が変わるまで打ち込まれた砲爆弾、壕に逃げ込んだ住民を炙り出す執拗な火炎放射、そして民間人にまで及んだ自死の強制。本書は行動を軍とともにした記者たちが自らも体験したその壮絶な戦場の実態を、生存者をたずね克明に記録したもの。現代史第一級の史料を初文庫化。
目次
第1章 嵐の前夜
第2章 悲劇の離島
第3章 中・南部戦線
第4章 姫百合之塔
第5章 死の彷徨
第6章 北山の悲風
第7章 住民の手記―板良敷朝基記
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おおかみ
11
沖縄には三十三年忌を弔い上げとする風習があり、戦後30年以上たってようやく悲惨な体験を口にできるようになった人も多いと聞いたことがある。今や沖縄戦の代名詞ともなっている『鉄の暴風』が出版されたのは戦後わずか5年のこと。一体どれほどの熱量で証言を集めたのだろうか。詳細な戦史がこの時点で十分網羅されていることに驚嘆せずにはいられない。プロパガンダの一翼を担った反省のもと、記者たちは1948年に「沖縄タイムス」を創刊した。彼らの血と涙の結晶である本書がいま文庫化されたことの意味をかみしめたい。2025/07/28
真琴
9
20万人もの尊い命が犠牲になった沖縄戦が、どれだけ悲惨なものだったのか。米軍上陸からの住民の側から見た沖縄戦を体感した。帯文にあるように「日本人必読の書」で、後世に伝え続けなければならない貴重な資料です。(1950年沖縄タイムス社より初版発行)2024/07/02
二人娘の父
6
沖縄戦に関する書籍を読むたびに度々登場する本書。沖縄戦を住民目線で記録する、歴史的な証言集でもある。私のように、今回のちくま学芸文庫版の発行によって、おそらく初めて手にする人も多いだろう。県外かつ戦争を知らない世代の人間が沖縄の歴史と現状に思いを寄せるならば、本書は絶対に避けて通れないであろう。沖縄を論ずるならば、ここからスタートすべきである。図らずも帯に「日本人必読の書」とある。私もその通りであると確信する。初版1950年刊行。2025/06/27
馬咲
5
生き残った住民の体験談を基にして戦後早期に編まれた沖縄戦の記録。自身も戦場を経験した記者が、米軍の攻撃はおろか日本軍に追い詰められていく沖縄住民の姿を、迫真の筆致で描き出している。各濠での凄惨な避難生活、その濠すら軍人に追い出され山中を彷徨、捕虜になることへの恐怖から残る選択肢は餓死か自決、内通者と見做され敗残兵に殺害された人々も…。沖縄の非戦闘員の靖国神社への合祀には、こうした軍民間の加害と被害の関係を覆い隠す「軍官民共生共死」という戦時スローガンを戦後に継承する意図があることに気づかされ、愕然とした。2025/08/08
jam
2
新聞記者によるルポなのだが、やたら句点が多くてかなり読みにくい。しかし淡々とした筆致で書かれているがゆえに、臨場感と恐怖と絶望感が伝わってくる。米軍は最初から民間人には危害を加えない、人道的に扱うと言っていて、実際にそうだったようだが、それが住民には伝わらず、日本軍は住民を盾にしようとして、まったく守らないので、沖縄の住民は10万人以上と言われる犠牲者を出すことになった。今も米軍基地の負担を沖縄に背負わせていることを考えてみても、「日本人必読の書」(帯文)であることは間違いない。2025/04/06