出版社内容情報
なぜ美術史から女の存在が抹消されてきたのか? 西洋近代芸術の歴史が記述・記録される過程において強力に働いてきたさまざまな偏りを明らかにし、その学としてのあり方自体に内在する権力構造と性差別を指摘する。その一方で、フェミニズムからの美術史の問いなおしは、往々にして「ニュー・アート・ヒストリー」というかたちで旧来的な美術史の語りに再包摂されてきた。そうした現状についても鋭く批判し、緻密な検証を積み重ねることで美術史そのものに根源的な変革を迫る論争の書。新版への序文をあらたに訳出した決定版。
【目次】
謝辞/「ラウトリッジ・クラシックス」版のための序文
第一章 フェミニズム視点で芸術の歴史に踏みこむ イントロダクション
第二章 視線、声、権力 フェミニスト美術史学とマルクス主義
第三章 女性性(フェミニニティ)の空間とモダニティ
第四章 プレ・ラファエロ派文献における記号としての女 エリザベス・シダルはどう表現されたか
第五章 フォトエッセイ 女性性の記号
第六章 記号としての女 その精神分析的解読――ロセッティの「美人画」は意味をもたないか?
第七章 一九七〇年代を検証する フェミニズム視点に立つ創作実践に見るセクシュアリティと表現――ブレヒト的展望
旧版訳者あとがき/文庫版訳者あとがき/注/ポロック主要編著一覧/図版一覧/索引
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