出版社内容情報
世の中にはときどき、不幸や悲惨さを自ら選びとっているとしか思えない人たちがいる。人間の心の不思議さや狂気について考察する。解説 カレー沢薫
【目次】
内容説明
動物園の熊舎に身を投げた主婦、「葬式代がない」とアパートの床下に妻の遺体を埋めた夫、4匹の愛犬をつれて鉄道自殺を図った男―世の中には不幸や悲惨さを自ら選びとっているとしか思えない人たちがいる。不都合な現実に対処するために認知をゆがめ、率先して不幸に身をゆだねる奇妙な隣人。自虐指向と破滅願望がもたらすものは何か?人間の狂気について考察する。
目次
第1章 理解しかねる隣人たち(不自然な人たち;ああ、そうですか ほか)
第2章 奇妙な発想 奇矯な振る舞い(幸運の法則;運勢曲線 ほか)
第3章 悲惨の悦楽 不幸の安らぎ(熊に喰われる;虎と熊 ほか)
第4章 グロテスクな人びと(変人たち;狂気予備軍 ほか)
第5章 四半世紀後から振り返る(二〇〇〇年の空気と精神医学;三面記事の角度から ほか)
著者等紹介
春日武彦[カスガタケヒコ]
1951年、京都府生まれ。日本医科大学卒業。医学博士。産婦人科医を経て、精神科医に。都立精神保健福祉センター、都立松沢病院、都立墨東病院などに勤務。多摩中央病院院長、成仁病院院長を経て、同院名誉院長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こばまり
41
とかく新書は時代の求めに応じて勢いで書く物との印象があるので、発行から四半世紀を経て当時の世相や心境を振り返る増補章がよい。石田徹也氏の装画もよい。春日先生は本の紹介が本当に魅力的で、できれば自身も既読者として共感したいところ大概が未読で悔しい。2026/07/09
どら猫さとっち
15
本書は2000年に文春新書で刊行され、リアルタイムで読んでいた。今年になってちくま文庫で増補新版で再発売され、もう一度読んでみた。虎のかわりに熊に食べられた人妻、愛犬と心中した男、幼児を誘拐するも呆気なく逮捕される女子二人…。何故、人は狂気に魅せられ、不幸な結末に至っても快楽を見出すのか。そのなかに逸脱するものが、人の心の不思議をあぶり出す名著。2026/07/11
おーすが
11
気になるタイトルと奇妙な表紙に惹かれて購入。2000年に発行されたものの増補版とのこと。ビリーミリガンが流行した90年代から現代まで精神病を巡る状況はかなり変化した。発達障害ブーム、不登校・引きこもりの社会問題化などもあり、普通の人がメンタルクリニックを訪れることも珍しくなくなった。そんな経緯もあってか最近は弾けた精神病態が少なくなっていると言う。ただ「メンヘラ」や「無敵の人」など不幸であることと自我が結びつく言葉も生まれてきて不幸がうっすら蔓延、社会全体が不幸慣れしてると言えるのかもしれない。2026/07/15
すゞめ
7
人はなぜ、不合理な行動で不幸を選択してしまうことがあるのか? 様々な事例と共に、狂気を考察していく一冊 (ドラマチックさとは対極の)呆気ない結末の作品こそが、リアリティを持っているという主張には大いに共感した "サイコバブル"に記された時代背景も相まって衝撃的な事例が多めだが、 自分の中にも同様の胚珠が眠っているのかもしれない という著者の一貫したスタンスが、そこが恐ろしくもあり興味深くもあった また本書を手に取ったこと自体、ある種の怖いもの見たさであることを見事に見透かされていた2026/07/20
KC
4
精神科医の書いた本なので専門用語ばかりなのかなと思ったけど、中身はほぼ作者の考えで読みやすい。怠惰や従属はある種の弱者にとっては甘い蜜で、不幸のぬるま湯にとっぷり浸かるほうが楽ということ。自分も無意識に不幸でも楽なほうを選んでないかと考え、すこしゾッとした。2026/07/24




