出版社内容情報
太田静子と太宰、娘が書いた二人の秘められた愛と真実。静子が書いた『斜陽』のモデルとなった日記。太宰治にまつわる名著二冊を合本。
内容説明
太宰治が「一ばんいいひととして、ひっそり命がけで生きていて下さい。コヒシイ」と書き送った相手、『斜陽』のモデルとなった太田静子。時間を置いたからこそ見えてきた、二人のあいだの真実とは。太宰と静子の娘・治子が愛情を込めて書き起こした傑作ノンフィクション『明るい方へ』。貴重な文学的資料であり、『斜陽』のもととなった静子の回想録『斜陽日記』と合本。
目次
母の糸巻(太田治子)
明るい方へ 父・太宰治と母・太田静子(太田治子)
(下曽我;斜陽;めばえ)
斜陽日記(太田静子)
著者等紹介
太田治子[オオタハルコ]
1947(昭和22)年神奈川県生まれ。明治学院大学英文科卒業。父は太宰治、母は『斜陽』の主人公・かず子のモデルと言われた太田静子。67年、紀行文「津軽」で婦人公論読者賞受賞。86年『心映えの記』で坪田譲治文学賞受賞
太田静子[オオタシズコ]
1913(大正2)年滋賀県生まれ。実践女子専門学校中退。新短歌グループに参加、口語歌集『衣装の冬』刊行。41年、太宰治と邂逅、47年2月に手渡した日記(『斜陽日記』)が名作『斜陽』のもととなる。同年11月、太宰との娘である治子を出産、未婚の母として育て上げる。82年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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amanon
4
この二つの作品が一冊になったのは嬉しいけれど、でも限られた文字数で感想を述べるのは至難の業だな(苦笑)。治子作の『明るい方へ』ではとにかく、太宰の人たらし力と、ダメンズぶり、そして後々まで罪作りであったことを改めて痛感…太宰に関わった人は不幸なのか、それとも本人的には幸福と思っていたのか判断に迷う。『斜陽日記』は、思ったほど『斜陽』には流用されていなかったのが、ちと驚き。また、タイトルに反して日記形式ではなく、記憶を再構成して書かれたものだとしたら、静子の物書きとしての才能は、高かったという気がした。2025/07/06
ヤンシー
1
タイトルにひかれた太田治子の『明るい方へ』は、文章の運びが自分には読みにくかった。 まあ感想を一口で言えば、自分は太宰治の娘ではなく、一般読者で良かったって感じ。 しかも『斜陽日記』読んだら、お母さんもしっかり作家だった。 太田治子に同情禁じ得ない。 でも、娘の父親への、しかも不在の父親への好きだけど嫌い、憎む許せない愛して、みたいな裏腹な行ったり来たりを何度も繰り返して切ない。母親へも同じく。 父と母の絵に描いた「恋と革命」のつけ(現実)をひとりでひっかぶってるとも言えるわけで、切ない。2025/07/09
akari
0
「明るいほうへ」は、太宰のサノバビッチぶりがすごくてムカつきっぱなしだった。三島に、「才能はあるけど残念な人」と言われたのもうなづけた。 斜陽日記は、恋愛的要素はほとんど出てこないのに、全編に流れる恋愛みたいな切ない感じが、私は斜陽より好きだと思った。2025/07/10
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