出版社内容情報
強烈な知人たちとの奇妙な会話、突飛なエピソード、滲み出す虚無感。戦後派の巨匠が贈る昭和のユーモア短編集、待望の復刊。解説 荻原魚雷
内容説明
ウスバカと大バカの違いとは?善友・悪友ときて、益友とは?買ってきたタコは何故七本脚なのか?主人公のもとをたびたび訪れては奇妙な問答を繰り返し、何かを押し付けたりやらせたりする男・山名君との珍妙なやりとりが絶妙な連作ほか、語り手と友人知人が紡ぐ物語10編。戦後派の巨匠にして、虚無と表裏のユーモアで独特な存在感を示した著者、最後の傑作短編集。
著者等紹介
梅崎春生[ウメザキハルオ]
1915年福岡市生まれ。東京帝国大学国文学科卒。在学中に「風宴」発表。42年陸軍に、44年海軍に召集、暗号通信分遣隊長として坊ノ津で終戦を迎える。復員後、戦争体験をもとに『桜島』『日の果て』を発表、一躍第一次戦後派作家の代表的存在となる。「ボロ家の春秋」で直木賞、『砂時計』で新潮社文学賞、『狂い凧』で芸術選奨文部大臣賞、『幻化』で毎日出版文化賞。1965年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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阿部義彦
20
ちくま文庫3月の新刊。梅崎春生さんは、これで2冊目ですが、実にとぼけてかつ刺激的、中毒性のある作家です。友人の山名君と言うのが良く登場するが、この人物は実在しているのを、解説の荻原魚雷さんの文章で知りました。実に珍妙で突飛な問答でたまりません!直木賞受賞の「ボロ家の春秋」もぜひ読んでみたい。2025/03/29
さとまる
8
面白い!梅崎のユーモア短編小説を11編収録しているが、その大半が梅崎自身の身の回りに起こったことを描いたエッセイに近いものになっている。中でも梅崎家に出入りする「山名君」が巻き起こすドタバタ劇は『ボロ屋の春秋』を思い起こさせる。それにしてもここ最近梅崎の復刊が続くなぁ。ありがたいけどブームなのかな。2025/03/14
864
1
凄く良かった。"私"と山名君のやり取りが笑える4つの話は、森見登美彦作品を思い起こさせる。主人公がとある事情からライバルの背中にホクロがあるかどうかを確かめようとする「Sの背中」はユーモアは控えめだが、知らぬが仏という教訓が突きつけられるラストがなんとも言えない味がある。「留守番綺談」は一夏の間教授宅の留守番をする事になった主人公が、突然現れた教授の遠縁という林と過ごすミステリ風味の話。ユーモラスなやり取りが楽しいが、ラストは戦争の影を感じさせやり切れない。2025/04/13
uh
1
こんな小話をしてくれる友人が周りにいたらな、と心底しみじみとしてしまった。2025/03/21
ぬささび
0
やっぱ梅崎春生だいすきだなー 2025/05/01