出版社内容情報
湾岸戦争をアメリカのTV放送だけで追ってみる、という試みから始まった本書は、アメリカを突き動かす英語という言葉の解明へと焦点を移していく。母国語によって人は規定され、社会は言葉によって成立する。たえず外部を取りこみ攻撃し提案していく動詞中心の英語に対し、日本語とは自分を中心とした利害の調整にかまける言葉だと著者は結論付ける。
言語にはそれぞれ美点と歪みがある。日本語のなかで生きる私たちは日本語という「歪み」を通してしか考えられない。「戦後」という時空間は、実はその「歪み」そのものなのだ。ではその歪みから自由になることはできるのだろうか。「歪み」を熟知したうえで「歪み」を駆使すれば、日本語の外へでていくことはできる、と著者は書く。英語と日本語への熟考が、やがて読み手を世界の認識の根源まで導く鮮やかな思考の書。
1997年は加藤典洋の『敗戦後論』と片岡義男のこの本の出現で画期的な年として記憶されることになるだろうと思った。(高橋源一郎『退屈な読書』より)
カバーデザイン 杉山健太郎
内容説明
母国語によって人は規定され、社会は言葉によって成立する。日本語のなかで生きる私たちはその歪みを通してしか考えられない。ではその歪みから自由になれるのだろうか。英語と日本語への熟考が、やがて読み手を世界の認識の根源まで導く。刊行時には「1997年は加藤典洋の『敗戦後論』と本書の出現で画期的な年として記憶されることになるだろうと思った」(高橋源一郎)と評された名著の復刊。
目次
第1部 アメリカ(湾岸戦争を観察した;フリーダムを実行する;遠近法のなかへ)
第2部 日本語(世界とは母国語の外のこと;母国語の性能が浪費される日々;ペシミズムを越えようとしていいのか)
著者等紹介
片岡義男[カタオカヨシオ]
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、1974年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。1975年『スローなブギにしてくれ』で野性時代新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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