出版社内容情報
フィンランドの子育てに、目からうろこ。「母親は人間でいられるし、人間であるべきです」二人の子どもと海を渡った社会学者による現地レポート。
内容説明
「これらのスキルはすべて、一歳から死ぬまで練習できることですよ」二人の子どもを連れ、新しい土地で生活を始めた社会学者の著者は、日本とのちがいに驚かされつつ、出会ったひとたちからたくさんのことを教わっていく。「フィンランドは理想郷でもないし、とんでもなくひどいところでもない」たんたんと、関西弁のユーモアを交えて描かれる、北欧のレポート。
目次
1 未知の旅へ―ヘルシンキ到着
2 VIP待遇―非常事態宣言下の生活と保育園
3 畑の真ん中―保育園での教育・その1
4 技術の問題―保育園での教育・その2
5 母親をする―子育て支援と母性
6 「いい学校」―小学校の入学手続き
7 チャイコフスキーと博物館―日本とフィンランドの戦争認識
8 ロシア人―移民・移住とフィンランド
著者等紹介
朴沙羅[パクサラ]
1984年、京都市生まれ。専攻は社会学(ナショナリズム研究)。ヘルシンキ大学文学部文化学科講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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azukinako
52
フィンランド子連れ移住の著者の話は子育てにとどまらず、社会学者としての視点からの考察が目からウロコ。「生活の練習」というタイトルからしてグー。「性格」や「能力」と思っていたものはスキルだから練習して身につけていけばいい。わたし(または、この子は)こういう性格だからだめね、じゃなくて、まだスキルが足りないのねと練習する。なるほどね。あと、人にはソサエティが必要だということもつくづく思った。自分が退職したあとに社会とどうかかわればいいのかという今の私の悩みの回答も見つけた気がする。とにかくお薦め!2024/09/17
梶
33
しっかりしている人に対しての安心感のような、著者と自らの認識の近さゆえに、非常に読みやすい。行き届いた配慮と、しっかりと感情を動かしつつ語ってくれる語り口のよさが、始終心地よい。フィンランドへの神聖視は、ピッタリと記述される現実問題が解きほぐしてくれる。社会学的切り口(人種や移民の問題も含む)、母としての生活への注視、子の視点、軽妙な関西弁、、、さまざまなものが織られたエッセイ。2024/10/07
秋 眉雄
19
『私は、思いやりや根気や好奇心や感受性といったものは、性格や性質だと思ってきた。けれどもそれらは、どうも子どもたちの通う保育園では、練習するべき、あるいは練習することが可能な技術だと考えられている。』社会学者の朴沙羅さんがレポートする、子供二人を連れてのフィンランドでの生活。視野とか考え方。僕自身の狭さと浅さを再確認しました。面白かった!2025/04/14
みゆき
14
単行本が発行された時から文庫化されるのを待っていたけれど期待外れ。ジョークなのか?皮肉なのか?分からないけれど、挑戦的で棘があるように感じられた。時折混じる中途半端な関西弁も読みにくい。とても興味深い内容だが、文章が合わなかった。2024/10/24
はるき
12
北欧に憧れる系の本が好きなんですが、社会学者による本書は良い感じに力が抜けていてリアリティあります。子連れで海外移住、京都とヘルシンキの二拠点生活。淡々と綴られる日々は低温熟成された、噛むほどに味わい深い煮込み料理のようです。2024/11/11