出版社内容情報
少女工員の労働の日々を描く第一作「キャラメル工場から」をはじめ、労働、地下活動、戦争の経験などを描き昭和を駆け抜けた作家、最良の短篇選集。
内容説明
少女工員の労働の日々を描いたデビュー作「キャラメル工場から」、非合法の地下政治活動での女性の心の傷を描く「疵あと」、女ともだちとの数十年ぶりの再会と過去の事件を描く「時に佇つ その五」…労働、地下活動、戦争、東京や長崎の町、懐かしい友人たちについて自らの経験をもとに書き続け、昭和を駆け抜けた作家、佐多稲子。その最良の16篇を厳選した文庫オリジナルの短篇選集。
著者等紹介
佐多稲子[サタイネコ]
小説家。1904年、長崎県生まれ。15年、一家をあげて上京。その後、キャラメル工場、料理屋、日本橋丸善、カフェーなどで働く。28年、第一作「キャラメル工場から」を発表。その後、労働、共産党の地下活動、戦争、夫婦や家族などについて、自らの経験などに基づき数多くの作品を発表した。著書に『樹影』(野間文芸賞)、『時に佇つ』(川端康成文学賞)、『夏の栞』(毎日芸術賞)(以上、講談社文芸文庫)などがある。98年没
佐久間文子[サクマアヤコ]
文芸ジャーナリスト。1964年、大阪府生まれ。朝日新聞記者を経て、現在フリーランス(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真琴
9
工場やカフェー、料亭、戦場、地下活動・・・とに身を置きながら昭和の時代を生きた市井の女性たちを描いた短編集。沈鬱な気分になる作品が多かった。作中の人たち、悲しみとか諦めを抱えながらも誇り高く生きていたのだろうな。2024/03/16
まどの一哉
4
あいだに戦争を挟む激動の時代であることもさりながら、少女時代からの労働、早婚、離婚、労働運動、戦地体験など、激変する人生が多彩な作品たちを生み出している。実体験をもとに忠実に書き起こされたものでも、けしてルポルタージュではなく小説としての名品の味わいがある。あくまで社会の中の自分や人間たちを見ている社会派小説。とくに女性ならではの労働・子育て・創作活動・社会運動の現場がありありと描かれて興味深い。2024/03/29
ふるい
3
"女って、なんて、口惜しいんでしょう"(p.254)2024/03/30
isbm
0
★★★2024/03/19