出版社内容情報
きつねうどん、しっぽく、けいらん、のっぺい、衣笠丼、町中華……唯一無二である京都の食堂文化の謎を徹底研究。文庫オリジナル。
内容説明
きつねうどん、しっぽく、けいらん、のっぺい、ちゃんぽん、衣笠丼、木の葉丼、カレー丼…京都の食堂は歴史の中で、「麺類・丼物」を中心にして独自の発展を遂げてきた。うどんも丼物も中華もある京都食堂の魅力とは?食いしん坊の地理学者たちが店に足を運び、味わい、観察し、文献を渉猟して、謎多き京都食堂文化に迫る。待望の研究書が、文庫書き下ろしで、ついに登場。
目次
第1章 上方“麺”問答―諸説覚書(「きつね」は「けつね」か;「きつね」か「たぬき」か;「きつね」は化ける;油揚げの魅力)
第2章 “しっぽく”の美学(京都のうどんには○○がのっています;卓袱から“志津ぽく”へ;にゅうめんの正体;“しっぽく”鍋のミッシングリンク)
第3章 なにを「とじる」か(謎かけ丼;“麺・丼”問答;「あんかけ」をご存じですか?)
第4章 食堂と町中華の不思議(どこでも“中華そば”;“ちゃんぽん”とりどり;“あんかけ”の都;台を替える楽しみ)
著者等紹介
加藤政洋[カトウマサヒロ]
1972年長野県生まれ。立命館大学文学部教員。専門は人文地理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
60
以前京都の町中をうろついていた時に「相生餅」という看板か張り紙を見かけてずっと疑問だったんだけど、そういう事だったのね。東京都は一風変わった関西の丼文化を紹介した一冊。きつねは共通しているけどたぬきは東京関西はおろか大阪京都でも概念が違うとか、しっぽくの変遷、ご飯の方の丼文化とか、関西の食文化がこれでもかと紹介されており読んでいてお腹が減って来る。京都でマスコミに取り上げられる店とは違い、その辺の通りにこじんまりと建っているような町食堂。読んでいるとそれらの中にこそ文化の神髄がある様に感じられるなあ。2023/12/11
さばずし2487398
30
同じ関西でも「たぬき」だけでこんなに違うのかと驚き。小林カツヨ先生の戸惑いもよく分かる。また以前から気になっていた衣笠丼の説も読めて納得と満足。その起源と仮説する伝説は何と風流というか、無茶というか、いかにも京都らしい。田舎丼の話も面白かった。この様な丼やうどんを食べに行ってもチェーン店みたいな所で食べる方が多くなってしまった昨今。個人経営の街のお店でじっくり「台」の上の具と名前を観察してみたくなるが、その様なお店は後継問題などで減少しつつあるのは、食文化面から見て大きな損失だと危機感も感じた。2024/07/15
たっきー
12
京都の食堂文化についての解説本。関東と関西で麺や丼のきつね、たぬきの定義が違うのは意識していたが、大阪と京都でも意味が違っているのは、意識していなかったけれど言われてみれば…というところで面白かった。これを読んでいて、しばらく食べていなかったしっぽくうどんとあんかけうどん、木の葉丼が食べたくなった。2023/12/30
MASA123
11
文庫本の裏カバーを見ると・・・食いしん坊の地理学者たちが店に足を運び、味わい、観察し、文献を渉猟して、謎多き京都食堂文化に迫る。待望の研究書が、文庫書下ろしで、ついに登場・・・とある。 自分も間違えたが、本書は、京都の食文化研究ではなくて、食堂文化研究である。彼らが味わったのは「京料理」ではなくて「京都の食堂の麺類・丼物」だ。 うどんにそえる青ギの切り方(小口切り・斜め切り)を6ページにわたり説明していて、装丁イラストの「刻みうどん」の違和感がわかった。大阪の刻みうどんとはネギの切り方が違う。 2025/03/31
Naoko Takemoto
10
昨日、昼食で入ったうどん屋(茨城県)が京風をうたっており、なんと『けいらん』が置いてあったので食べた。高血圧のかげんで日頃塩分控えめを心がけているからか、やや塩辛い味わいを感じたが、細いうどんに絡むとろりとした玉子あんはああ京都・・次に行った時は『にしんうどん』にしようと心に誓う。オーバーツーリズムが問題になっている京都だが、その麺丼食堂文化は独特、かつ、庶民的。とにかく食いしん坊にはたまらない一冊。内容もよくまとまっていて筆致に嫌みがない。とりあえず、きつねとたぬきの謎はこの一冊を読めば解けます。2024/05/28
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