出版社内容情報
若旦那の放蕩、長屋の夫婦模様など古川柳の世界を描き文藝春秋漫画賞受賞した『風流江戸雀』に併せ、小噺集「呑々まんが」を文庫初収録。解説 南伸坊
たのしい。おいしい。ほほえましい。(解説より)
川柳の世界を描く名作に加え、全56篇初収録の小咄(こばなし)漫画。
「くどかれて あたりを見るは承知なり」「朝帰り 首尾のよいのも 変なもの」町娘の純情な恋、すねかじりの若旦那、長屋の夫婦模様…川柳を引用しつつ江戸の日常を短編の中に見事に描き出し、1988年、文藝春秋漫画賞を受賞した『風流江戸雀』に加え、江戸を舞台に、手書きの吹き出しで、一話を5~7コマでのびのびとユーモラスに描いた『?々まんが』全56篇を文庫初収録。
【目次】
風流江戸雀
古川柳つま楊枝
ぶらり俳諧散歩まんが横の細道
?々まんが
解説 たのしい。おいしい。ほほえましい。 南伸坊
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ムッネニーク
69
91冊目『風流江戸雀/呑々まんが』(杉浦日向子 著、2023年4月、筑摩書房) 古川柳をモチーフにして描かれた『風流江戸雀』『古川柳つま楊枝』と、俳諧をモチーフとした『横の細道』、小話のような1P漫画『呑々まんが』を収録。 江戸に生きる町民たちの何気ないやりとりを、ここまで生き生きと、そして洒脱に表現出来るのは、古今東西を通じて杉浦日向子以外にはいない。ウィットに富んだ笑い話や、一筋縄ではゆかぬ男女の機微をわずか数ページでサッと書き上げてしまう、まさに名人芸。 〈れていても れぬふりをして られたがり〉2024/07/09
HANA
69
「風流江戸雀」「呑々まんが」の二編を収録。前者は江戸時代の人々の暮らしぶりを川柳と共に描いた作品で、江戸時代の日常を「いき」と「すい」を集めて煮詰めたような印象を受けた。駘蕩とした暮らしぶりで、見たことも聞いた事も無い江戸の人々がどこか懐かしくなるよう。後者はどちらかというと落語ネタが多いような印象を受けるが、こちらもその駘蕩とした雰囲気は存分に味わえる。読んでいるうちに川柳に興味が湧いてきたけど、この雰囲気は著者の手腕あってのものなのだろうなあ。江戸という独特の空間に、どっぷりと浸かる一冊でした。2023/05/08
けやき
43
漫画。新潮文庫版の「風流江戸雀」は読了済だが、このちくま文庫版は「呑々まんが」が全話収録されており、初読みもあり。江戸の川柳が、杉浦さんの絵で息を吹き込まれ、楽しく読めた。2023/04/14
チョビ
7
ヒナコは江戸の風俗を描いているのではない。江戸の人々の心を描くのである。彼らはその日暮らしであるが、常に明るい。過去と現在と未来とそのまた当てにならない先のまた先を考えている令和の人間が、ないわー、と思う。2024/06/03
XX
6
江戸庶民の何気ない生活が微笑ましい。特別に何かが起こるわけでもないが、読んでいて楽しい。南伸坊の解説を読んで「そうか、これは落語の漫画版か」と納得した。名人芸。2025/05/02