出版社内容情報
複雑な家庭事情に翻弄され、芸能界で波瀾の人生を歩んだ大女優・高峰秀子。切れるような感性と洞察力で本質を衝いた、おそるべきエッセイを精選。
内容説明
5歳から55歳まで映画界で活躍した大女優・高峰秀子。複雑な家庭事情に翻弄され、魑魅魍魎が跋扈する芸能界で波瀾の人生を歩んだ。華やかな女優業の一方で、妻として生活者として平凡な毎日を丁寧に積み重ねた。己を隠さず、他者に真っすぐ向き合い、小さな出会いに涙する―。その切れるような感性と洞察力で、生きること死ぬこと愛することの本質を衝いた、おそるべきエッセイを精選。
目次
喜(旅のはじまり;ラスト・ダンス;ヘチャプリ大王 ほか)
哀(つながったタクワン;血染めのブロマイド;勲章 ほか)
学(ピエロの素顔;ただ今自分と出会い中;夏のつぎには秋が来て ほか)
敬(菜の花;人間スフィンクス;薔薇 ほか)
著者等紹介
高峰秀子[タカミネヒデコ]
1924‐2010北海道生まれ。子役時代から晩年まで一貫して日本映画界を代表する名女優として名を馳せた。出演作は300本以上。代表作に『二十四の瞳』『浮雲』『名もなく貧しく美しく』など。確かな審美眼を持ち、絵画骨董にも造詣が深い。名文家としても知られ、『わたしの渡世日記』で日本エッセイスト・クラブ賞受賞。夫は脚本家・映画監督の松山善三。養女は文筆家の斎藤明美(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まこみや
54
「品格の二字だけは忘れちゃいけないよ」小津はそう諭した。品格の人ー高峰秀子という人間の本質を一言で評すればそうなる。一時代を画した女優とはいえ、その人生は決して順風満帆ではなかったし、ましてや絢爛豪華からはほど遠い。子役の頃から家族を支え、小学校も満足に行けず、養母との確執は強まり、「外では仮面、家では鎧」の生活。その彼女に行住坐臥一貫するのは物欲しげな顔をした卑しさだけは決して見せまいという姿勢ー品格であった。三十までほとんど文盲だった高峰の文章を今読んで感動するのも、品格に裏打ちされているからである。2023/02/04
ヨーイチ
27
高校生になって本屋の文庫本を眺める様になって、梅原龍三郎描く高峰像のカバーをかけた、この人のエッセイ集を良く目にした。当時からエッセイは名作とされていた。いつか読むだろうと思っていたが結局未読で本書が初めて。要領良く纏められている印象。複雑な生い立ち、日本映画黄金時代の子役からアイドル(この頃にはまだそんな言葉は存在していない)期間、大女優としての振る舞い、頭の良さと勉強振り、等々が、当時の社会状況と共に読み取れる。続く2023/02/12
慧の本箱
20
「渡世日記」を読了して12,3年ぶりに又高峰秀子に会いたくて本書をてにした。彼女の綺羅星のような交友関係。まあ~彼女自身も綺羅星そのものだから当たり前のことだけど・・それにしても、ろくでもない身内と言うか親戚に取り巻かれた少女時代。よくぞここまでご無事でとかける言葉が見当たらない。そんな環境の中、一本筋の通った高峰秀子と言う人の凄さを又改めて再認識しながら読了。2024/05/17
naotan
13
とても良い。特に司馬遼太郎の思い出話にはウルッと来た。心の栄養になる一冊でした。2022/11/10
よしどん
11
著者のことは顔と名前が一致するくらいしか知らないが、何かで推薦していたので読んでみた。エッセイなので読みやすいのだが、一番最初の話がご本人の事だと気づくのに少し間があった。エッセイなのに読んでいると小説か何かと錯覚するような内容でびっくりした。明治・大正の昔はよくある話だったのかもしれないけれども。後半老いていくことに対する処し方みたいなものが書かれていて参考になった。2023/01/22