出版社内容情報
明治時代の鹿児島で士族の家に生まれ、男尊女卑や家の厳しい規律など逆境の中で、独立して生き抜いた一人の女性の物語。解説 鶴見俊輔・斎藤真理子
内容説明
「わたしという女は、子しか産むことのできぬ女なのか」「ひとふりの刀の重さほども値しない男よ」…。男尊女卑の因習、家の規範、愛なき結婚、第二次世界大戦、70代での夫との訣別…薩摩士族の娘であるキヲは、明治から昭和にかけて世のならいに抗い、「独立」の心を捨てずに生きた。自らの母をモデルに、真の対話を求め続ける一人の女性を鮮烈に描いた名著。
著者等紹介
中村きい子[ナカムラキイコ]
1928年、鹿児島生まれ。小説家。谷川雁、上野英信、森崎和江らが中心となり1958年に創刊された「サークル村」に参加。本作『女と刀』で第7回田村俊子賞(1967年)を受賞。1996年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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buchipanda3
82
「反り身で生きてきた女の肌の重みを識る。千の槍も通さぬしなやかな女の肌」。明治から昭和を生きた薩摩郷士の娘キヲの一代記。郷土訛りの彼女の語りが迫ってくる。その衰えない迫力にいつしか人生を鼓舞されたように感じた。齢七十で離縁した元夫への一刀両断から始まる。維新後も身分制と家父長制が色濃い地元で自らの生き方を問い、相手を問い、時代の変遷の中を整然と信念を持ち続ける姿は哲学的。現代風の処世術の真逆な有り様だが、実は人間味ある現実主義なのだ。肝の据わった人間性、そこから忘れていた肝心なものが思い出された気がした。2026/02/13
優希
37
芯の強い女性を描いているという印象を受けました。強烈で力強さがあり、生まれる時代が異なれば良かったと思わずにいられません。2023/10/29
Olive
10
著者の実母がモデルの小説である。娘の目に映った母親像は, 厳しくそして孤高の威厳さえ感じる。薩摩藩士の娘として生まれたこの母親は、何かに屈して生きることを強固なまでに拒み続けた。小説にしてある程度の脚色もあるだろうが、鋼の意志を貫く頑固さは時として他人へ押しつけと取れることもあるが、キヲのみならずそういう女はある一定数存在したのではないか。この時代だったからこそそれだけ強くあらねばならなかった。そしてそれは女よ立ち上がれという社会に対してのメッセージであったのかもしれない。2025/09/03
Moeko Matsuda
9
長いこと積読していたこちらの本、読み始めたらあっという間だった。めちゃくちゃ強烈。帯には「薩摩士族の娘の苛烈な生」とあるが、その苛烈さの根本は彼女の性格だ。凄まじい男尊女卑の在り方は、読んでいると暗い気持ちになる。しかしそれを跳ね返すキヲさんはあまりにも気が強いし、更にその根本には別種の差別意識が根強くあることが、私自身がこの作品をどう評するか、述べることを難しくしている。ただ確実なのは、要するに一言で言えば、彼女はあまりにも強く、直刃の刀のように鋭いということ。女、だから。魂が震える読書体験だった。2022/12/18
かれーらいす
4
激動の時代を、たった一人で、刀のような言葉で生き抜いた女の一代記。キヲの語りは毒舌で乱暴で、でも不思議と胸を打つ。「自分を信じて、誰にも媚びずに生きる」ことの苦しさと誇りが、全編に満ちていた。2025/06/18
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