出版社内容情報
剣豪小説の大家として知られる柴錬の現代ミステリ短篇の傑作が奇跡の文庫化。〈巧みなストーリーテリング〉と〈衝撃の結末〉で読ませる狂気の8篇。
内容説明
剣豪小説の大家として知られる著者は、現代もののミステリも多数残した。本書は表題作「第8監房」を筆頭に、主に1950年代に発表され現在は入手困難な短篇を集めたオリジナル作品集。東京の裏社会、スパイ工作、連続猟奇殺人、禁断の愛―巧みなストーリーテリングと衝撃の結末で贈る“狂気”ほとばしる作品群。幻の『盲目殺人事件』を完全収録し、日下三蔵氏による詳細な解説も併録。
著者等紹介
柴田錬三郎[シバタレンザブロウ]
1917‐78年。岡山県生まれ。慶應義塾大学支那文学科卒業。在学中より「三田文学」に現代ものの短編を発表。戦後、「書評」の編集長を経て、創作に専念。52年、『イエスの裔』で第26回直木賞を受賞。以後、時代小説を中心に創作し56年より「週刊新潮」連載開始の『眠狂四郎無頼控』は、剣豪小説の一大ブームを起こす。69年に『三国志 英雄ここにあり』で第4回吉川英治文学賞を受賞
日下三蔵[クサカサンゾウ]
1968年、神奈川県生まれ。SF・ミステリ評論家、アンソロジスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
65
柴田錬三郎というと時代小説のイメージが強いけど、本書はそんな著者の現代ミステリを集めた一冊。収録作のうち「平家部落の亡霊」のみは地方の怪奇と外連味たっぷりの異色作なんだけど、残りの収録作はミステリというか当時の風俗を描いたものが大半を占めている。推理小説的な謎解きより、風俗小説という部分が勝っている感じ。読んでいるうちに当時のミステリに求められているものと、現在求められているものとの落差がむしろ面白い。あ、でも流石著者というべきか小説としての骨格はしっかりしているので、小説として面白い物ばかりでしたよ。2022/05/22
OHモリ
17
・まずシバレンこと柴田錬三郎の個人的印象から語りたくなってしまった。小学生の頃岡山に住んでいた僕は同級生にシバレンの親戚だという少年がいて初めてその名を知って関心を持ったのだけど、その頃TVで放映されていた眠狂四郎シリーズはエッチな描写があってなかなか・・・自分の中では白土三平のコミックの世界にもちょっと重なる気がする。 ・シバレンは「剣鬼」に続いて2作目。この短篇集は時代小説ではなく現代、と言ってもまだ戦後の臭いがプンプンする時代の小説で、時代背景やテイストは松本清張っぽい。2022/05/10
hirayama46
4
柴田錬三郎を読むのはこれがはじめてかな……? 時代ものの印象が強い作家さんですが、こちらはミステリ短編を集めたもの。裏表紙にも「〈狂気〉ほとばしる作品群」とありますが、たしかにだいぶ常軌を逸した作品が多かったな……。いかにもハードボイルドだけどどこか普通じゃない「銀座のジャングル」、ねじくれた展開が楽しい表題作など、オフビートに面白い作品集でした。2022/06/23
あんすこむたん
2
初読みの作家。著者については直木賞をかなり前に取った人というイメージしかなかった。時代を感じるものの、ハードボイルドな雰囲気は楽しめた。ミステリーとしてはそこそこか。2023/12/14
クリフトン
1
高級店のならぶ銀座も 昭和30年のころはまるで別の様相だった その証言としても読めるミステリー風な風俗小説 著者らしいダンディズムやニヒルさも漂うし 後半の小説は久生十蘭氏のような趣きも感じた2022/03/24