出版社内容情報
孤島の奇祭「モドリ」の生贄となった同級生を救った陸と花蓮は祭の驚愕の真相を知る。悪夢が極限まで疾走する村田ワールドの真骨頂! 解説 小澤英実
「だって、私たちって、家畜じゃない」(「変半身」)「僕たちの身体には奇跡が眠っているんだ」(「満潮」)――若者が贄となる孤島の秘祭「モドリ」の驚愕の真相から恐るべき世界の秘密が明かされる「変半身」、「潮を吹きたい」という夫に寄り添う妻がふたりで性の変容を探求する「満潮」、ニンゲンの宿命と可能性を追究して未知の世界を拓く村田ワールドの最新の到達点を見よ!
内容説明
「だって、私たちって、家畜じゃない」(「変半身」)「僕たちの身体には奇跡が眠っているんだ」(「満潮」)―若者が贄となる孤島の秘祭「モドリ」の驚愕の真相から恐るべき世界の秘密が明かされる「変半身」、「潮を吹きたい」という夫に寄り添う妻がふたりで性の変容を探求する「満潮」、ニンゲンの宿命と可能性を追究して未知の世界を拓く村田ワールドの最新の到達点を見よ!
著者等紹介
村田沙耶香[ムラタサヤカ]
1979年千葉県生れ。玉川大学文学部卒業。2003年『授乳』で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)を受賞しデビュー。09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、16年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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だーい
47
またすごいものを読んでしまったと放心状態。「変半身」…みんな自分に都合のいい嘘を信じる。そしてそれが宛も真実であるかのように世界が変容していく様が描かれている。今のSNSの中身ってこんな感じだなあと思いながら読んだ。「満潮」…この話は好きだった。最初はふざけているのかと思ったが、膣がおかしいと言われたことがショックで正常な膣になりたいとコンプレックスを持ってしまった主人公が、一緒に潮を噴こうと夫と切磋琢磨?する姿が妙に応援したくなってくる。生命式の「正常は発狂の一種」という言葉が再び降臨した。2024/08/25
サンタマリア
42
これは完璧にSF小説。ScienceでもFictionでもないSF小説。不条理とはちょっと違うかな。村田沙耶香節全開で、つまり僕たちの共通的な思想を揺さぶってくる。2022/01/14
まさ
40
村田沙耶香さんの作品はいつも心をエグっていく。読むとかなりダメージを受けるのだけど、また手にしてしまう。何を信じて生きていくのか。根本的な部分であり、その上に時間が流れているのに、問われると、顧みると言葉にならない。しかし、突いてくる。問うてくる。疲れて、考えて、また疲れて。ポーポーポーポーポー…。2022/05/05
JKD
39
千久世島で行われる秘祭「モドリ」のシーンがあまりに衝撃で読む手が一瞬止まる。謎のポーポー祭りにまつわる奇想天外な話。続く満潮は夫婦それぞれが自分で潮を噴かせたいと、くそ真面目に切望する話。どちらもカオス。どういう発想したらこうなるのか。読み終わって解説を読むと何となく納得させられるのもまた不思議。恐るべし村田ワールド。2022/04/23
hukkey (ゆっけ)
27
表題作を含む2編。村田さんワールドに付いていくのは大変なのに癖になる。<変半身(かわりみ)>孤島に残る古い風習から始まる奇妙な話。読後はそんなバカな!? って感じたものの SNS でデマが拡散される世の中を考えれば、島ぐるみ星ぐるみでバカげた真実に伝統が上書きされる可能性もあり得るかも。<満潮>「潮を噴いてみようと思うんだ」真面目に切り出されて思わず笑っちゃったけど、人それぞれ体質や性の考え方も違うのに一様に断じて、時に嗤いモノにする世間に一石を投じる話に、なるほど唸らされた。価値観が合う出会いも奇跡だ。2021/11/30