出版社内容情報
とある会社の総務課を舞台に、社内外で起こるドタバタ事件をほのぼの、ユーモラスに描いた13編の連作からなる昭和のラブコメディ。解説 南沢奈央
内容説明
総務課に勤める桜井大伍は、同期の山吹桃子とともに、社内外に巻き起こるドタバタ事件に次々と巻き込まれる―。1950年代、懐かしい“昭和”の牧歌的な空気の中、魅力的な登場人物たちが、恋や仕事に右往左往する姿をユーモラスかつキュートに描くラブコメディ。各話「明日は日曜日」と締め括られる構成も魅力的で、「今」読むからこそ新鮮な13編からなる連作短編小説。
著者等紹介
源氏鶏太[ゲンジケイタ]
1912‐1985年。富山市生まれ。本名、田中富雄。富山県立富山商業高等学校卒業後、1930年に住友合資会社に入社、会社勤めのかたわら懸賞小説に応募するなど執筆活動を行い1951年には「英語屋さん」他で直木賞を受賞する。1956年、退職し小説家に専念、1958年からは直木賞選考委員も務めた。長年の会社員生活をもとに企業を舞台としたユーモア溢れる「サラリーマン小説」を多数発表し、その多くは映像化もされた。1971年、吉川英治文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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信兵衛
29
各話の最後はいつも、明日の日曜日は何する?といった会話で締めくくられます。 週6日働いて、明日は休み=日曜日、と心待ちにしている様子が生き生きと感じられて楽しくなります。 まぁ、のどかな、良き時代だったのでしょうね。2021/04/03
旗本多忙
21
明日は日曜日!世間はGWに突入だから、日曜日が特に嬉くはないか。でも私は日曜日しかないので明日が楽しみ。それは置いといて、この「明日は日曜日」は源氏鶏太氏が70年くらい前に書いた職場の恋愛小説だ。大手企業の総務課で机を並べる2人、大伍君は桃子さんが好き、桃子さんも大伍君が好き。散財多い大伍君は桃子さんにいつも無心する。喜ぶかの如く貸す桃子さん。互いに一言が言えず、いつも他人の世話ばかり。僕が二十歳の頃は、まだこんな感じの恋愛はあっただろうなあ。スッキリ爽やかな2人はどうなるのか。明日は日曜日が合言葉・・・2023/04/29
ニコ
17
1950年代のサラリーマンの恋愛小説。お爺さんお婆さん世代の頃かな?現在とはずいぶん物価とか職場の様子とか違ってて、今なら完全なパワハラ、問題発言?でも時代の空気感が伝わって面白い。日曜日の為に頑張ってきたお爺さんお婆さんに感謝!2021/05/14
鷹ぼん
9
週休1日が当たり前だった時代の物語らしく、土曜日に「明日の日曜は映画でも」なんて会話で締めくくられる各章。主人公の桜井大伍君は、相談ごと(基本的には恋愛関係)を断れない性格で、隣席の桃子女史をやきもきさせるが、そんな大伍青年を微笑ましく思い、さらには好意も抱いている。そこになかなか気づかない大伍青年、実にイイ奴だ。エレベーターガールの杏子さんには悪いけど、やっぱり大伍君と桃子女史は結ばれるのが、妥当でしょう(笑)。それほど詳細ではないが、終戦からわずか7~8年で急速に復興した大阪の街の様子も、興味深い。 2021/04/17
こばゆみ
9
今から70年くらいに書かれたお話。お互いを想い合っているのになかなか付き合わない会社勤めの大伍くんと桃子さんの2人を軸にして、同じ会社に勤める人たちの恋愛模様を描いた連作短編集。今言ったら間違いなく問題になるだろうジェンダー的発言のオンパレードで、これでもだいぶ性差は無くなってきたんだなーと感じられる1冊。大伍くんと桃子さんの関係性がほのぼのしていてとても良かったし、登場人物の割と辛辣な発言が面白かった(笑)。そして私は解説の南沢奈央さんと同じ経由で源氏鶏太さんの作品にハマっている(笑)。2021/03/28
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