出版社内容情報
普天間、辺野古、嘉手納など沖縄の全米軍基地を探訪し、この島に隠された謎に迫る痛快無比なデビュー作。カラー写真と地図満載。解説 白井聡
内容説明
「沖縄・超初心者」だった著者が、ツテなし・コネなしで沖縄の米軍基地を体当たりで取材。普天間、辺野古、嘉手納、ホワイトビーチなど沖縄本島にある全米軍基地を探訪し、「戦後日本」に封印された驚くべき事実をあばいていく。ノンフィクション作家・矢部宏治の痛快無比なデビュー作。カラー写真・地図満載。
目次
1 沖縄から考える(ペリーはなぜ、最初に那覇にきたのか;沖縄には、6人の帝王がいた;普天間は「法律上の飛行場」ですらない;占領はまだつづいている;鳩山首相はなぜやめたのか ほか)
2 戦後史から考える(日本国憲法と日米安保条約;アメリカの対日政策;CIAと戦後日本;日本テレビとCIA;戦後体制の守護神・司馬遼太郎 ほか)
著者等紹介
矢部宏治[ヤベコウジ]
1960年兵庫県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、博報堂マーケティング部を経て、1987年より書籍情報社代表になる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たまきら
33
行くだけでも気づく。沖縄本島を車でうろつき、眺めが良い所へ行くとフェンスにぶち当たる。その先はアメリカだ。沖縄の立ち位置を地理的にまず説明し、歴史的背景、様々な政権、アジア各国と説明が続いていく。徹底した分析と研究、シミュレーション…かなり持ち点の多いアメリカに交渉できるのか。色々考えている最中に米議会議事堂乱入事件発生。FBIはこの可能性を分析していたはずなのに、どうしたことか。DC在住の友「民主主義国家の終焉は、いつも他国の脅威でなく自国の腐敗だ」…現状打破のキーワードはもう出ている気がする。2021/01/08
kazuさん
29
「日米安全保障条約は日本国憲法よりも上位に位置づけられており、それが自国の法体系を根底から破壊している。ゆえに、憲法が歯止めとならない現状において、安保条約に基づく米軍駐留は絶対に容認してはならない」と強く主張している。この本は、日米安保条約や日本国憲法の成り立ち、そしてその関係性について再考を迫る、非常に深い内容である。巻頭に収められた写真集は、単なるビジュアル資料ではなく、著者の問題意識の出発点にすぎず、そこから読者を深い思考へと導いていく構成となっている。2025/04/06
kan
25
やや扇情的な書き方がしんどいが、大変勉強になった。ペリーが浦賀の前に那覇に来航していたこととそのBATNAの構図が現代と同じことから始まり、米国の一貫した日本支配の巧妙さと細やかさに感心すらする。徹底的な研究に基づいた対日心理戦も、その隠し方も一流だ。日本は占領下にあり、主権国家とはいえないことを再確認した。条約は憲法以外の国内法に優先という法体系から日米安保条約と地位協定、日米合同委員会の役割、自民党の立場を理解しやすい。沖縄を車で走ると名護までずっと基地だが米国が「不沈空母」を手放すことはないだろう。2024/11/17
Sakie
21
沖縄は古来、覇権争いの要衝として望まずして権力争いに巻き込まれてきた。基地問題は今の沖縄にとって最たるもの、 アメリカと日本政府の動向は、知るも何も、生活を直接に左右する。敗戦以降、外務省や防衛省はアメリカの意に沿うことを最優先してきた。頻繁に開かれる在日米軍高官との機密会合、政治家は総理になって初めてその鉄の掟と密約を知らされ、背けない。主権国家として有り得ない、日本国民の意思がまるで通用しない領域。この歪みが本土にいるとなんでこんなに見えなくなるのか。「小指の痛み」はいずれ、全身の痛みになるのだろう。2023/07/09
風に吹かれて
21
昨年2021年6月15日、地元の山形空港にオスプレイが「予備着陸」した。米軍は日本の空を自由に飛び回っていることを改めて確認した。東京上空を低空で飛んでいることも毎日新聞などの報道で知っている。沖縄返還後も返還前と同様に沖縄の基地を使用していることも知っている。米国は日本と詳細な取り決めを結ぶが米国向けのために作成するのであり日本国内での活動では無視されるのだそうだ。また、ペルーが詳細に沖縄を調べアメリカの戦略基地にしようとしていたことは知らなかった。 →2022/05/06