出版社内容情報
途上国の子供が生きる現実は厳しい。貧困と飢餓、教育の不足、児童婚、労働、戦争──。世界中を歩き続けた著者と共に、国際協力の「現場」を学ぶ。
内容説明
「平和な国」に住んでいるだけでは決して見えない子供たちの世界がある。食べるものがなく、教育を受けられず、路上に暮らし、望まぬ結婚を強制され、時には戦力として利用される少年少女。しかし、それでも彼らは力強く生きている―。覚悟をもって、知らねばならない。世界中を自ら旅した著者が放つ「本当の」国際協力入門ガイド。
目次
第1章 餓死現場での生き方
第2章 児童労働の裏側
第3章 無教養が生むもの、奪うもの
第4章 児童婚という性生活
第5章 ストリートチルドレンの下剋上
第6章 子供兵が見ている世界
著者等紹介
石井光太[イシイコウタ]
1977年、東京都生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。作家。国内外の文化、歴史、医療、社会問題等を取材し、ノンフィクション作品のみならず小説やエッセイ、児童書他幅広く執筆。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
90
世界には貧困に苦しむ子供が大勢いる。通常は「飢餓に苦しむ人に食料を」等の表向きの言葉だけの情報しか目立たない。飢餓、児童労働、無教育、児童婚、児童兵。五つの問題に対して具体的に数値を上げながらそのリアルな事実を示してくれる。状況は単純ではない。「児童労働を禁止する」としたせいで働き口がなくなった多くの子供達が飢えたり、もっと劣悪な犯罪や売春に陥ったりする。根本的な貧困問題を解決しない限りはこの問題はなくならない。唯一の救いはこうした統計値がこの10年の間に徐々にではあるが改善されつつある事だろう。★★★★2021/03/06
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
16
コロナのためにこれまでセーフティネットとして機能していた”風俗”がその用をなさなくなったと問題になったけど、そもそもそれに携わることが幸福感につながらないものを命綱としなくてはならない矛盾の解決にまではなかなか繋がらない。それでも生きる、というタイトルに、トンネルから抜けて明るい光の中に出るべきだという強い思いを感じる。幸福でないセーフティネットはいつまでも頼りにするべきものではないのだ(当たり前。2021/03/26
雲をみるひと
16
ストリートチルドレンや若年結婚など途上国の問題を論じた本。作者の実体験は踏まえられているが、総論的な立ち位置で他の作品と違う印象を受ける。統計なども用い、問題をニュートラルな目で捉えたい意図がよく伝わってくる。2020/10/09
よしあき
6
児童に関するノンフィクション。 貧困、飢餓だけでなく、児童婚や子供兵など、なかなか報道されないテーマもしっかり取材されている。自分がいかに恵まれているか思い知らされる。 文庫版あとがきで、10年前から比べて改善傾向にあることが書かれているが、なくなることはないはずで、なにか力になれることを考えねばと感じた。2021/01/11
紫の煙
6
飢餓、児童労働、無教養、児童婚、ストリートチルドレン、子供兵。貧困が子供たちを苦しめている。学校に行かせず子どもを働かせる親、子どもを売り渡す親を一概に責めることは出来ない。簡単な問題ではないが、10年前と比べ改善されていることがわかった。2020/11/22