出版社内容情報
こんな大岡様は観たことない。江戸城書物奉行が観た大岡裁きの秘密を描く表題作をはじめ単行本未収録作品5篇に明治物2篇を収録。解説 山本一力
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ribes triste
15
江戸、明治の時代小説短編集。「秘本 大岡政談」の3編が面白かったです。大岡越前守の名裁きの陰には、書物奉行同心 奈佐勝英の活躍があったという切口がうまい。もっと書いてほしかった。2020/05/01
ソババッケ
9
7つの短編集。内3つが大岡政談部分で、大岡に過去の判例やアイデアを提供する紅葉山の新米の書物奉行の話。町人には人気の大岡忠相だが、武家の間では将軍吉宗のお気に入りは妬まれる。事件の判決には神経を使わなければならなず、苦悩していた。紅葉山文庫の仕事内容も詳述され興味深い。明治ものの「合牢者」は警視庁の特務課探偵掛の矢飼巡査部長が、上司の命で難事件解決のために鍛冶橋監獄の拘置所へ潜り込むというもの。7編の中では続編を期待するほど面白い。上司の巡査副総長というのが実に個性的なくわせもので駆け引きの名手。★3.32020/08/01
広瀬研究会
4
大岡越前の見事な裁きは、書物奉行・奈佐又助と江戸城内・紅葉山文庫の蔵書が支えていた、という『秘本大岡政談』シリーズの筋立てが楽しい。特に『花盗人の命運は「大明律集解」にあり』が面白く、連載3回で終わってしまったのは、とても惜しい。『いろはにほへと捕物帳』も第1話で中断してしまったみたいだし、何だか井上ひさしさんらしいな。2021/04/11
takao
1
ふむ2021/12/07
オールド・ボリシェビク
0
単行本未収録短編を集めたという。標題の「秘本大岡政談」は面白く、「そういえば、井上ひさしって、時代小説作家だったよな」ということを思い出させるが、それ以外は凡庸。未収録だったのもむべなるかな、であった。2020/04/28