出版社内容情報
「世界一孤独」な男たちと「時限ばかり」の女たち。全員が幸せになる策はあるか――? 社会を分断する溝に気鋭の社会学者が向き合う。解説 内田 良
内容説明
現代日本に暮らす人々はある種の貧困に陥りやすい。仕事一本で家庭や地域に居場所を失う「関係貧困」の男性たち。生まれた時から進学、就職、結婚、育児、介護と期限に追われる「時間貧困」の女性たち。世界が平等を謳えども、いまだ両者の間には深い分断が存在する―「普通」の幸せは本当に在るのか?凝り固まった構造の歪みを今こそ丁寧に解きほぐす。
目次
第1部 居場所のない男(男女の時空間分離がもたらした悲劇;「弱音を吐けない」という男性問題;日本男性の「関係貧困」)
第2部 時間のない女(既婚女性は家族の「時間財」;日本女性の「時間貧困」;出産タイムリミットに追われる日本女性)
第3部 時空の歪みを超えるために(不寛容な日本の私;総合的な「生活者」を考える)
著者等紹介
水無田気流[ミナシタキリウ]
1970年神奈川県相模原市生まれ。詩人、社会学者。早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程単位取得満期退学。國學院大学経済学部教授。詩集『音速平和』(思潮社)で中原中也賞、『Z境』(思潮社)で晩翠賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤瀬こうたろー
14
自分はどうだろうと比較しながら読んでしまう(笑)私がイクメンしてた時期って、たぶん著者の方よりも最近なので平日子ども連れて遊ばせていてもママさんたちとも普通に話してたし、少なくとも不審者っぽくは見られなかったので幾分かイクメン、イクパパが浸透していた時期だからだろうか。「共働き夫婦の夫の7人に1人は全く家事しない」ってもはや男の私から見ても「え、いつの時代ですか」って話です。ていうか、しなくていいなんて羨ましい(失言?)これから共働きでいくなら洗濯掃除は当たり前の時代かな。私は今目下「炊事」と格闘中!2021/11/21
ぺんぐぃん
6
著者はTVでお見かけしてて、詩人と思い込んで読み始めたがガッツリ社会学の内容。やっぱり今の世の中、男は社会人となるべき、女は子供を産み育てるべき、と生き方が硬直していることをズバリ指摘。だから昼間に男は居場所が無く、女は仕事と育児で自分時間を奪われる。男も女も生きづらいと感じる人が一杯いて、少子化は止まらない。2015年初版刊行だが、悲しいかな状況は全く変わっていない。だが、このコロナ禍で効率だけを優先してきた事の歪みや新しい価値観が顕在化したのは、明るい兆しなのかもしれない。2021/03/28
bittersweet symphony
6
基本的にはいつまでたっても変わらない高度経済成長期の社会規範に縛られていることへの嘆き節が中心(これは今更改めて語られるまでもないことですね)、そして提案されている解決策はみんなで一斉にチェンジしたら何とかなる、というなんと申して良いやらわからないものでした。2020/06/17
carrion_crow
5
Twitterで友人が話題にしていたので買って忘れて積んでいたのをようやく読了。 ジェンダー論エッセイ集かなと思ったら社会学の本だった。現実的でない社会規範のせいで男性も女性もそれぞれに限界なので、もう社会規範から変えないとダメ(しかし、それができれば世話はない……)というお話。 登場する色んな人の経験談が全部あるるあ……辛い……という感じで刺さりまくるが、将来へのわずかな希望も感じる。 男性の生き方を見直す機会にもなる良書だったので、男性にも女性にもおすすめ。2023/08/24
うさぎや
4
積んでいたのを思い出したので。何年経ってもまったく進んでいない世の中であることよ……(遠い目)2021/07/05