出版社内容情報
古代中世に誕生したものもある地名は「無形文化財」的でありながら、「日用品」でもある。異なる性格を同時に併せもつフシギな世界を紹介する。
内容説明
数百万とも数千万ともいわれる日本の地名。地形にちなむもの、土地の機能を表すもの、名産品を冠したもの、あるいは由来や意味が判然としないものなど、そのひとつひとつに命名にまつわる逸話がある。一筋縄ではいかぬ、ややこしくて人間臭い日本各地の地名。それらのエピソードを繙きながら、そぞろ歩く。
目次
第1章 いろいろなモノの地名(水が豊富な国の「水の地名」;火の地名・焼ける地名 ほか)
第2章 特色ある地名(色のついた地名;木偏の地名 ほか)
第3章 山河・道・駅・橋(山・岳だけではない山の名前;坂の地名 ほか)
第4章 地名のしくみ(簡単に読めそうで読めない地名;同じ字を反復する住所と河川名 ほか)
第5章 地名に関するあれこれ(近所の同一地名をどう区別するか;境界の両側に同じ地名がある ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
71
いつも楽しく読める今尾さんの地名本。タイトル通りのふしぎな地名を追求するが、安易に歴史ある地名を改変してしまう、行政のあり方には苦言を述べる。単におもしろいだけに止まらず、シリアスな面もきちんとのぞかせる。合併後の市町村の名前にさまざまな珍現象が見られることが最近とみに多いので、将来に禍根を残さないか、確かに心配である。その中で、京都の「洛中」であの長い地名を守っているのは「快挙」だろう。実際、町名だけで住所にたどりつくのは、ほとんど不可能だからである。解説が国字の研究で有名な笹原先生なのも価値あり。2020/05/31
雲をみるひと
8
地図や地名に関する著書の多い作者の作品。出自が不動産鑑定士向けの冊子ということもあり、実地を交えた調査ではなく地形図ほ各種地図からわかる事実の列記が中心。地名に造詣が深い作者なので新出の内容も多く楽しめる。一方、一部の内容が書中で複数回触れられている。もう少し編集してもよかったのではと思う。2020/02/23
Naoko Takemoto
7
ラジオで地形地図を語る今尾恵介氏の軽妙な語り口でファンなった。マニアが高じて学者はだしになった本物の人だと思う。身近な地名の歴史や変遷、はたまた珍名等を、ひたすら挙げ語りつくされている一冊。取りとめもないことをよくぞ纏めた。電車の中で思わず吹きだしてしまったのが反復地名。「四日市市市場町」市が三つ並んどる。「志布志市志布志町志布志」ここまで来ると早口言葉か。多少珍奇であっても謂れがあり、日本文化の一部として大切にしたい。しかし『高輪ゲートウェイ』やはりアカンやろう。政治権力が駅名を作っちゃいかん。2020/03/13
pitch
5
表紙から、変わった地名の解説本かと思ってたのだけど、「××に由来する地名」を列挙した内容だった。雑誌連載なので構成にメリハリがなくて何となくダラダラ読んでしまったけど、反復地名のところとか笑ってしまった。著者の知識量には感服しました。他の本も読んでみたいです。2020/12/03
さざめざく
2
本文、あとがきともに「京都市西京区」を「京都市西区」と誤植しているのが少し残念2020/12/14