出版社内容情報
ヤドリギ、ガジュマル、フクジュソウ。美しくも奇妙な生態にはすべて理由があります。人知れず花を咲かせ、種子を増やし続ける植物の秘密に迫る。
内容説明
植物は、動けないからこそ、動物とは全く違う戦略をとり、技を磨いてきました。秋冬篇では、踏まれることを利用して生きるオオバコ、わざとまずい味を仕込む赤い実のマンリョウ、他者を踏み台にする絞め殺し植物のガジュマルなどを紹介します。植物たちのしたたかな生き方からは、人生哲学や経済法則も見えてくる!?さあ、道端のワンダーランドへご招待!
目次
ヒガンバナの汚名
オオバコの生きる道
セイタカアワダチソウ盛衰史
カエデが色めき立つとき
絞殺魔ガジュマル
オナモミの家出
ヤドリギの寄生生活
マンリョウの深謀遠慮
フクジュソウの焦燥
ツバキの赤い誘惑
フキノトウの男女交際
ナズナの離れ業
スギナのサバイバル術
著者等紹介
多田多恵子[タダタエコ]
東京都生まれ。東京大学大学院博士課程修了、理学博士。現在、立教大学、国際基督教大学、東京農工大学、早稲田大学非常勤講師。植物の繁殖戦略や虫や動物との相互関係を調べている。NHKラジオ「子ども科学電話相談」でも人気の植物学者。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
81
車中にての楽しみに読んでいた。画像も豊富で気が付くと読了していた。23日の土曜日、未明だった。 書店で生物学の書架を物色していて、稲垣 栄洋,三上 修共著の『身近な雑草の愉快な生きかた』が目につき、手にした。すると、そばに本書が。買う気もなく、ただパラパラと捲っていて、ツバキの章が目に飛び込んできた。2022/07/23
翔亀
43
春夏篇もあるが、もう秋なので本書から。これは良いです。屋久島あたりに行かなければ見れないガジュマルを除けば、身近な原っぱや森に行けば見ることのできる野草や樹をとりあげながら、植物観察の面白さに誘ってくれる。単に特定の野草の種の紹介ではなくて、例えばナズナだったら同様のロゼットの野草が写真入りで紹介される。しかも植物形態学や植物生理学の基本も解説され植物学入門にもよい。ちょうど近くの森の観察に夢中になっている私には、マンリョウやセンリョウなどの縁起植物がこんなに↓2020/09/12
チャーリブ
27
著者は、NHK趣味どきっ!「道草さんぽ」の講師。ヒガンバナ、オオバコ、セイタカアワダチソウ、カエデ、オナモミなど、身近な植物たちの「したたかな」生態(あるいは生きざま)を愛情をこめて解説した植物記。近年いろんなもの(たとえば戦艦や競走馬)を擬人化するトレンドがあるが、本書では植物たちが授かった命を精一杯燃焼している様子が人さながらに描かれている。たとえば「ナズナの離れ業」の一節は「ナズナは、短くも波乱に富んだ一生を送る」から始まる。もう彼らのことを「ペンペン草」なんて言えなくなる健気な一生である。◎2021/12/05
たまご
19
まってました秋冬編! 花粉や実を運んでくれる昆虫や鳥,動物をうまく利用したり,みんながいない時期に先駆けて実るために花を咲かせたり,としたたかな方略が今回も. でも,南天・センリョウ・マンリョウなどなど,科が違うのに同じ赤い丸い実ビジュアルで,なぜなのでしょう.「したたかさ」が科によって違うと思っていたので,不思議です. 紅葉・黄葉の話を聞くにつけ,ヨーロッパは黄葉なんで日本の紅葉に驚くんだよ,と聞いた話が本当なのか嘘なのか知りたいとおもいつつ,調べない怠け者なわたし.2020/01/13
やま
18
春夏辺に続く秋冬編。花の色と虫の話(蜂は黄色がお好き)とか、花の香りと形と鳥の話(鳥はにおいがわからないらしい)とか、今日トレッキングでも使ったネタでした。締め付けるガジュマル、ベンガルボダイジュ(インドボダイジュはどうなんだろう?)やロゼッタの話など、以前に少しかじった植物の科学の話が理解できるように記載されていて、わかりやすく書くということが大事だと改めて思いました。おすすめ◇末尾の索引ならぬ用語集もおすすめ。2022/07/23