出版社内容情報
サイエンス作家竹内薫の母校では文系理系を問わず生徒達を魅了する古典授業があった。行間や一語一句の深みに迫るその読み方を、恩師に今改めて聞く。
内容説明
「バリバリの理系人間」であるサイエンス・ライターの竹内薫が、敬愛する母校の恩師に古文の深層を教わる対談集。『源氏物語』『平家物語』『万葉集』など国語の教科書でおなじみの作品を、大人になった今あらためて、プロの手引きでひもとけば、行間ににじむ深い思い、一語一句に込められた重い意味に思わず息をのむ。対談で取り上げた作品の原文と、黒澤弘光氏による現代語訳付き。
目次
第1章 伊勢物語(梓弓;筒井筒)
第2章 大和物語(姨捨)
第3章 平家物語(忠度都落;木曾殿最期)
第4章 源氏物語(桐壺巻)
第5章 万葉集(山上憶良―その人となりと人生;防人歌)
著者等紹介
黒澤弘光[クロサワヒロミツ]
1945年群馬県生まれ。東京教育大学文学部、同大学大学院博士課程修了。1973年東京教育大学附属高等学校(現筑波大学附属高等学校)教諭となり、2008年退職
竹内薫[タケウチカオル]
1960年東京都生まれ。筑波大学附属高校、東京大学教養学部教養学科・理学部物理学科卒業。マギル大学大学院博士課程修了。サイエンス・ライター。物理学の解説書や科学評論を中心に100冊余の著書がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
87
「万葉集」再読中。バリバリのサイエンスライター竹内氏が、恩師であり長年古文の教師を勤めた黒澤氏に、「伊勢物語」「大和物語」「平家物語」「源氏物語」「万葉集」のこれはという場面を巡って質疑応答。それぞれに実に興味深い講義。「万葉集」が典型的だが、古文を読むには、時代背景を単に註釈だけじゃなく、想像力を目一杯働かせないといけない。例えば旅にしても、昔は地図がない。月の出ない闇夜と云えば、恐怖で身動きできない、だけどジッとしていることも出来ず無闇に走り出す、そんな漆黒の海。2019/12/04
やいっち
51
バリバリのサイエンスライター竹内氏が、恩師であり長年古文の教師を勤めた黒澤氏に、「伊勢物語」「大和物語」「平家物語」「源氏物語」「万葉集」のこれはという場面を巡って質疑応答。それぞれに実に興味深い講義。「万葉集」が典型的だが、古文を読むには、時代背景を単に註釈だけじゃなく、想像力を目一杯働かせないといけない。例えば旅にしても、昔は地図がない。月の出ない闇夜と云えば、恐怖で身動きできない、だけどジッとしていることも出来ず無闇に走り出す、そんな漆黒の海。2025/04/03
やいっち
13
バリバリのサイエンスライター竹内氏が、恩師であり長年古文の教師を勤めた黒澤氏に、「伊勢物語」「大和物語」「平家物語」「源氏物語」「万葉集」のこれはという場面を巡って質疑応答。それぞれに実に興味深い講義。「万葉集」が典型的だが、古文を読むには、時代背景を単に註釈だけじゃなく、想像力を目一杯働かせないといけない。例えば旅にしても、昔は地図がない。月の出ない闇夜と云えば、恐怖で身動きできない、だけどジッとしていることも出来ず無闇に走り出す、そんな漆黒の海。 2025/04/03
ひよピパパ
13
高校時代に習うメジャーな古典を深読みしてその魅力を語り尽くしてくれる。題名に「こんなに深い」と冠せられるだけあって、本書を読むと俄然古典が面白くなる!著者二人の対談形式で進むが、その掛け合いが絶妙。楽しく読み進めることができる。自分にとっては特に『源氏物語』の解説が新鮮だった。桐壺更衣の置かれた辛い境遇については従来から多く指摘されるところだが、その原因が、桐壺帝が「公」ではなく「私」の立場にあまりに偏り過ぎたためであるとする説明が面白かった。新任高校国語教員には是非とも読んで欲しい一書。2020/03/16
まっちけん
12
筑駒の名物国語教師黒澤先生に、その教え子でサイエンスライターの竹内薫が直撃する。バリバリ理系だからこそのほどほどの知識と鋭い質問が黒澤先生のしゃべりを活性化してく。5章全部面白かったけど、「梓弓」では頭を殴られた気分になり、「木曽殿最期」では泣きそうになり、「桐壺」では帝の恋は盲目ぶりに仰天した。こんな先生に習いたかったと思う一方、こんな先生は大量生産できないので、せめて古典を嫌いにさせず、将来自分の意思で読む余地くらいは残しておいてほしいと思う。古典、普通におもしろいから。2019/12/05