出版社内容情報
「超能力」「永久機関」、オカルトに投資する企業。この深層現象を徹底取材したノンフィクションの傑作。2章分を書きおろし増補。解説 武田砂鉄
内容説明
「超能力」「永久機関」…オカルト研究に投資する企業を徹底取材したノンフィクションの傑作!バブル崩壊以降、日本の企業社会が傾斜していった研究とは?ソニーの中にあった「超能力」研究所。「永久機関」に投資する商社。これらの現象は深層で繋がっていた。現在の政治社会におけるカルト状況について新たに取材、序章、最終章分を書き下ろした。
目次
文庫版序章 カルト国家の愛国・道徳オリンピック狂騒曲
第1章 ソニーと「超能力」
第2章 「永久機関」に群がる人々
第3章 京セラ「稲盛和夫」という呪術師
第4章 「万能」微生物EMと世界救世教
第5章 オカルトビジネスのドン「船井幸雄」
第6章 ヤマギシ会―日本企業のユートピア
第7章 米国政府が売り込むアムウェイ商法
文庫版最終章 「カルト資本主義」から「カルト帝国主義」へ
著者等紹介
斎藤貴男[サイトウタカオ]
ジャーナリスト。1958年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業。英国バーミンガム大学修士(国際学MA)。新聞記者、週刊誌記者を経てフリーに。さまざまな社会問題をテーマに精力的な執筆活動を行っている。『「東京電力」研究 排除の系譜』(角川文庫)で第三回いける本大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむら
37
ソニーと超能力、京セラ稲盛和夫という呪術師、オカルトビジネスのドン船井幸雄、ヤマギシ会、アムウェイ。目次だけでも面白そうな予感。スピリチュアルなものに本気でハマる経営者たち。元本が1997年とちと古いけど、相変わらずスピリチュアル界隈はまだまだ元気だし、なにか時代を覆う空気感はコロナ禍でじんわりとそっち方面に行きつつあるような。文庫の解説が武田砂鉄。2021/05/12
hatayan
32
政府や経営者を批判的に考察してきた斎藤貴男氏が1997年の著作に2018年の状況を加筆。 ヤマギシ会、EM農法、アムウェイ、船井幸雄などに取材。従業員の心を操り経営者の意のままに動く組織を仕立てる手段として、物質的な事実よりもスピリチュアルな主観を好む「ニューエイジ思想」が注目されることを示します。 稲盛和夫と元号法制化や改憲運動で近年注目された「日本会議」がつながっている箇所を読んだときは、執筆時の90年代と安倍一強の現在が地続きであり、「カルト帝国主義」の時代に入りつつあることを感じさせました。2019/04/27
ゲオルギオ・ハーン
24
仰々しいタイトルですが、中身は『トンデモ本の世界』の企業版といったもの。トンデモ本の世界の場合は執筆者に専門知識があるので鋭くクスッとくるツッコミと文章で読んでいて面白いのですが、本書の著者は経済学や経営学、理系知識があるわけでもないので内容的にはウサンクサイ会社、事業紹介と体当たりインタビューをまとめただけと少し物足りない。タイトルにある『カルト資本主義』についての定義が主観的かつ曖昧で、どうまとめたいのかがよく分からなかった。執拗なオリンピック批判と安倍元総理批判的にこの著者も少し怪しいような(汗)。2021/08/01
月をみるもの
19
EM 菌が、世界救世教や沖縄と深く長い関わりを持っていることを知って驚いた ( https://www.jstage.jst.go.jp/article/religionandsociety/15/0/15_KJ00006015205/_pdf ) 「光る君へ」をみてると、平安貴族のあまりの迷信深さに驚くが、現代人もたいしてかわらない。というか、ほぼ一緒。2024/03/11
のれん
11
サブタイからしてアホそうな字面が並ぶ。ソニーの超能力研究所とか救世主農法とかユートピアだとか文字だけなら週刊誌が追ってそうなオカルト臭い話ばかりだ。だが別にそこから何処ぞの陰謀だとかのオカルトオチを作るのではなく、何故そんなことを皆信じてしまうのか、誰が得をするのか、そういった現代日本社会で生まれるカルト誕生経緯を解説している。 バブル崩壊後全世代で抱える閉塞感。ここからの脱出を図るために文字通り藁にも縋ってしまうというのか。見つめ直すためにも、これ原作にして「カルト映画」1本は作ってみたらどうだろうか。2020/03/04