出版社内容情報
旧藩主の息女に生まれ松方財閥に嫁ぎ、四十歳で作家獅子文六と再婚。夫、文六の想い出と天女のような純真さで爽やかに生きた女性の半生を語る。
岩田 幸子[イワタ ユキコ]
著・文・その他
内容説明
旧藩主のお姫様に生まれ、上流社会で裕福な少女時代を過ごすも、松方財閥に嫁いだ最初の結婚では不慮の事故により夫との死別を経験。戦後、独身生活の中ではじめての会社員生活を送った。39歳のとき知人を介し獅子文六と再婚。人気作家の晩年を支えた。天女のような純真さと爽やかさ、天真爛漫でユーモラス、まるで獅子文六作品の登場人物のような女性の自伝的エッセイが甦る。
目次
第1章 生いたちの記(縁日の夜に;東紅梅町の家;母の里、加藤家のこと ほか)
第2章 最初の結婚(松方勝彦と結婚;松方家の人々;岩国へ疎開する ほか)
第3章 獅子文六との日々(獅子文六と再婚;新しい暮し;娘巴絵の結婚 ほか)
著者等紹介
岩田幸子[イワタユキコ]
1911‐2002年。東京生まれ。作家・獅子文六(本名・岩田豊雄)夫人。実家は岩国の城主・吉川家の分家であった。女子学習院卒業。1933年、22歳のときに松方財閥の本家に嫁ぐが、結婚後三年で死別してしまう。その後の独身生活では、戦後のどさくさの中はじめての会社員生活なども経験する。1951年、39歳のときに知人を介し、獅子文六との縁談があり再婚。人気作家の晩年を支えた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Inzaghico
3
やはり俄然面白いのが獅子文六との結婚生活のくだりだ。子ども時代のおひいさま生活はすごいし、松方勝彦との短い結婚生活も上流階級を覗けて面白かったけれど、文士との山あり谷ありの結婚生活に勝るものはない。おひいさま時代に、いまの神田駿河台に住んでいた広大な豪邸には驚いた。いまの御茶ノ水駅真ん前だったようだ。ニコライ堂がお向かいで、井上眼科もすでにあったとは。 獅子文六と岩田の結婚生活には「破れ鍋に綴じ蓋」という表現が思い浮かぶ。亭主関白な夫と、直情径行のちょっとピントがずれた妻。いい夫婦だったことだろう。2018/06/11
さく
2
明治のおひいさま、獅子文六に嫁ぐ!とあるが、嫁ぐ前の話もたくさんある。幼い頃の文化的な生活から嫁いで三年で未亡人になり、戦争まで経験して優雅な生活どころではない。それでもどこか呑気というか、楽天的なところがおひいさまなのか。 獅子文六は気難しくて、いつになく優しいこともあれば、御膳を庭に投げるような今ならDVのようなこともしていたようだ。あんなに楽しい小説を書く人なのに、意外でもあり昔の男の人ならそうかもとも思う。 おひいさまでないと獅子文六の妻にはなれなかっただろう。 2018/05/13