出版社内容情報
新たな注目を集める獅子文六作品で、表題作「断髪女中」を筆頭に女性が活躍する作品にスポットを当てた初の文庫化作品を多数含むオリジナル短篇集。
獅子 文六[シシ ブンロク]
著・文・その他
山崎 まどか[ヤマザキ マドカ]
編集
内容説明
近年の再評価により注目を集める獅子文六作品だが、生前発表されていた短篇小説の多くは、現在は読むことができなくなっている。それらは戦前から昭和中期までに発表されながらも、今読んでもモダンでフレッシュな魅力を届けてくれる。本書は編者監修のもと表題作「断髪女中」を筆頭に“女性”が活躍する作品にスポットを当てた初文庫化作品多数のオリジナル短篇集。
著者等紹介
獅子文六[シシブンロク]
1893‐1969年。横浜生まれ。小説家・劇作家・演出家。本名・岩田豊雄。慶應義塾大学文科予科中退。フランスで演劇理論を学び日本の演劇振興に尽力、文学座を結成した。一方、庶民生活の日常をとらえウィットとユーモアに富んだ小説は人気を博し、昭和を代表する作家となる。日本芸術院賞受賞、文化勲章受章
山崎まどか[ヤマサキマドカ]
文筆家、翻訳家。本や映画、音楽などを中心に“女子カルチャー”に精通し、さまざまなメディアで活躍する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shizuka
48
モダンガール編。モダンガールだなあと思ったのは『断髪女中』の女史くらい。中には「ん、これはどちらかというとボーイ編では」と思うのもあったが、まあそれは置いておいて、文六さんの話は面白い。『竹とマロニエ』のおばあさんが人物としては好感が持てる。昭和初期、日本に来ていたフランス人との交流話。このフランス人、気のいい青年、おばあさんを女中ではなく日本の母として扱うから、おばあさんも情が湧いてくる。二人でドライブに行ったりなかなかオシャレ。帰国後も通訳を介し文通をする二人。縁がある人とは繋がっていくんだなと実感。2018/03/25
ヨーイチ
43
文六センセの短編集、女性版ということらしい。全集でもあたらなければ読めなかった奴が読めるのは有難い限り。昭和十年代頃と思われる作品には配給とか革新運動とかの翼賛体制用語がギャグで使われている。理想の先に何があったのかはご存知の通り。ここら辺の一般人の感覚と時代相は戦前の実相を表している。内容はカラッと明るい。あとナンセンス色が濃いものもある。「花魁女中」が印象に残る。ちょっとお伽噺とも思える展開だが「乾いた人情噺」の趣。「いい話だなぁ」とズシリと来た。まぁ男は遊郭に過剰な思い入れを持つ物ではあるのだが。2018/09/28
優希
31
面白かったです。女性が活躍する短編集なので、読んでいて気持ち良かったです。2023/10/27
coco夏ko10角
29
16の作品収録の短編集。やっぱり獅子さんの作品はテンポよく楽しい。 『おいらん女中』素敵だ。 『見物女中』こういう人って本当にいたかも…? 『探偵女房』この奥さん可愛い。 『胡瓜夫人伝』キュリー夫人の伝記から影響を受けて…。面白かった~、これ一番好きかも。 『愛の陣痛』タイトルもタイトルの意味もなんかすごい。新婚夫婦のやり取りが楽しい。「獅子文六さんの作品に雑誌のダイアモンド!」ってなっちゃったけど、ダイアモンドって1913年創刊なのね、すごい…。2019/02/12
みつ
28
「モダンガール篇」と名打つ短篇集であるが、表題作など数篇を除き、モダンガールとおぼしき人物は登場せず、裏表紙の紹介にあるように、女性が活躍する作品、程度の意味合いか。登場人物の動きが一層軽妙で絡み合いの妙味も楽しめる長篇小説に比べると、より時代を感じさせるものが多い。中で割り切った考え方で「女中」という職業を楽しむ『断髪女中』『見物女中』は今の眼で見ても新鮮。作者がかの地に学んだからか、外国といえばフランスというのもモダンに映る。若いフランス人の交流を描く『竹とマロニエ』などは、ほのぼのとした味わい。 2023/06/24