出版社内容情報
お屋敷付き運転手モーランは通信教育の探偵講座を受講中。名探偵気取りで捜査に乗り出すが、毎回大騒動に……。爆笑ユーモアミステリ。解説 羽柴壮一
パーシヴァル・ワイルド[ワイルド,パーシヴァル]
著・文・その他
巴 妙子[トモエ タエコ]
翻訳
内容説明
田舎町のお屋敷付き運転手、P・モーランは通信教育の探偵講座を受講中。気分はすっかり名探偵で、学習した探偵術を試してみたくてたまらない。ところが尾行術の練習相手がたまたま本物の犯罪者だったり、強盗事件に巻き込まれたりと、毎回なぜか大騒ぎに。シロウト迷探偵の活躍を描くユーモアミステリ連作集。新訳「P・モーランの観察術」を追加収録した完全版。
著者等紹介
ワイルド,パーシヴァル[ワイルド,パーシヴァル] [Wilde,Percival]
アメリカの劇作家・小説家。1887年、ニューヨーク生まれ。ヴォードヴィル用の一幕物で人気を博し、小劇場向けに書き下ろした100本以上の戯曲は全米の劇場で上演された。ミステリ作家としても活躍。1953年没
巴妙子[トモエタエコ]
1963年長崎市生まれ。お茶の水女子大学文教育学部卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紅はこべ
109
晶文社版は勿論既読だが、文庫化というので買っちゃった。モーランの誤字脱字を訳すセンス、苦労したろうな。マクレイ主任警部の金銭にがめついゲスさが次第に露わになるのが楽しい。実際に名探偵及び犯罪者の素質を現したのは女性陣だったりする。「消えたダイヤモンド」は大笑い。ミステリを質量共に読み込んでいる作家のミステリは楽しいね。2018/07/24
セウテス
89
〔再読〕前作では、ゲームのいかさまトリックを暴く、ギャンブル探偵が生み出された。そして本作の探偵ピーター·モーランは、通信教育探偵と言うべき者か。彼の仕事は専属運転手であり、通信講座で学んだ探偵術の知識があるだけである。しかし本人は、もうすっかり一人前の探偵きどりで、毎回様々な厄介事を起こしていく。肝心の事件はと言うと、彼の暴走ぶりには笑ってしまうが、それでも解決してしまうのが意味ある処だ。モーランが、ホームズやエラリー等の行動を、忠実に再現する事でミスが起こるのだから、素直には笑えない所でもあるのだが。2023/02/21
かわうそ
30
探偵のとんちんかんな行動が本人の意図と関係なくなぜか事件の解決につながっていくコント風ミステリ。というかほぼコント。さすがに同じパターンを繰り返すのは難しかったのか後半ややテイストが変わるものの、全体的にはお気楽に楽しめる一冊でした。2018/04/24
けいちゃっぷ
23
富豪の運転手をしているモーランが通信教育で探偵術を学ぶが、すぐに実地で試したくなり実行してみるとビギナーズラックやらなんやらかんやらで事件を解決へと導く。 「消えたダイヤモンド」みたいな面白いのもあったが、同じような繰り返しでややテンションが下がることも。 しかしながら、モーランと通信教育の先生とで交わされる電報などに、みみっちいお金に対するやりとりがあったりして可笑しい。 350ページ 2018/09/11
ヨグ=ソトース
19
エラリー・クイーンをして「同時代最高の喜劇探偵」とまで言わしめた探偵P・モーラン、良いキャラしてますね笑。自分の能力を無根拠に過信しているところ、主任警部の皮肉が皮肉と理解できていないところ、基礎を飛ばして発展をやろうとするところ等々、「おバカな人あるある」でした。ドイルやカー、チェスタトン、セイヤーズなどおなじみの探偵小説のパロディもあり、作者の探偵小説愛も感じられます。海外版警部補・矢部謙三(ちょっと違う)的なユーモアミステリ―。第二講の放火犯と第七講の指紋の専門家の話が特に好きです。 2018/10/28