出版社内容情報
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著・文・その他
内容説明
「文化的遺産はすべて、それをめぐる人とのかかわり合いにおいてこそ、後世の人々の心をより強く打つものなのだ」隠密が潜み、裏切りが行われ、亡霊がさまよう。―北は松前城から南は鹿児島城まで、全国三十の古城名城にまつわる秘話裏話伝説記録を、そこに込められた哀しみと憤りと、怨念と呪詛と、闘いとその血汐とともに鮮やかによみがえらせる。
目次
鹿児島城の隠密
熊本城の首かけ石
原城の裏切者
佐賀城の亡霊
松山城の呪咀
福山城の湯殿
岡山城の後家
姫路城の高尾
明石城の人斬り殿様
松江城の人柱〔ほか〕
著者等紹介
南條範夫[ナンジョウノリオ]
1908(明治41)‐2004(平成16)年。東京生まれ。東京帝国大学法学部、同経済学部卒業。満鉄調査部ほかを経て、國學院大學教授となる。『週刊朝日』の懸賞小説に入選。1956年「燈台鬼」で直木賞を受賞。以降、時代小説、歴史小説を執筆。「残酷もの」などでブームを引き起こした(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
50
読友のレビューを見て面白そうなのでちょっと骨休め。ここには30の城にまつわる話(奇譚)を取り上げ、コンパクトな物語に仕立ててある。著者は元々大学の経済学の先生だったとのことで、文章はすっきりと切れ味が良く、テンポ良く読める。いわゆる怪談のような話もその裏の歴史をきちんと掘り下げて書いているので、歴史を知るにもいい。また史実(三方領知替えの時の庄内藩での出来事)もサクッと書いてあるので授業のネタにしたいくらい。半分は行ったことがあり、犬山城から見る木曽川とか、岩村城址上からの景色とか、思い出してしまった。2022/05/27
いりあ
9
漫画「シグルイ」の原作「駿河城御前試合」を書いた南條範夫が1974年に発表した「古城悲話 南条歴史夜話」の文庫版です。北は松前城から南は鹿児島城まで全国にある30のお城を選び、そこに残されている怪談、奇談、艶話などを収集した作品です。それぞれのお城にさいているページは短いですが、小説家らしい語り口で書かれています。特に残酷ものを得意とした南城らしく血なまぐさい事件の描写は迫力があります。2018/02/17
しゅー
6
★★★「北は松前城から南は鹿児島城まで、全国三十の古城名城にまつわる秘話裏話伝説記録」をまとめてある。各話がショートショートのような長さなので、外出時のお供にちょうど良かった。時代小説でチョコっと披露される歴史の裏話を集大成したような本だ。試しに冒頭の『鹿児島城の隠密』を読んでいただきたい。幕府の隠密にとって難攻不落の薩摩藩、初めて潜入に成功した誰もが知る有名人とは。ね?買いたくなったでしょう。暗くて残酷な話が多いのだけど、著者の書きっぷりがクールで気持ちよく読める。『幕末社会』で読んだ庄内藩の話も発見。2022/05/23
アニータ
3
全国30の城跡にまつわる伝説、逸話などを紹介した本。一つ一つは短い話ですが、ぎっしり詰まっている感じがして、読み切るまで少し時間を要しました。知っている話も少しありましたが、どれも興味深かったです。鹿児島城、佐賀城、犬山城、七尾城、小田原城、鶴ケ丘城、戦わざる巨城(江戸城)が特に好き。行ったことのないお城で行ってみたいと思ったのは福山城と鶴ケ丘城。こ行ったことのある城でもこういう背景知識があればより深い見方ができそうです。2018/10/03
竜王五代の人
1
タイトルは「城」だけど、城自体にまつわる話(構築にまつわる人柱とか、攻城戦とか)は少なめで、戦国から江戸時代の城の「中の人」の話が多い。残酷な殿様やら、陰謀やら、もめごとやら、暗い話題ばかりなのは南條範夫先生らしいが、一つの話題につき7ページなのでさらりと読めるよい本。/表紙の城の工作イラスト、なんか作風に見覚えがあるとおもったらあずみ虫先生であったか。2021/05/05