出版社内容情報
古本屋でひっそりとたたずむ雑本たち。忘れられたベストセラーや捨てられた生活実用書など。それら紹介しながら、昭和の生活を探る。解説 出久根達郎
内容説明
一世を風靡し大量に出回ったベストセラーや、生活に密着した実用書など、どこの家庭にもあったような本は古書店では二束三文だ。だが、これら古書値もつかない、捨てられた本や忘れられた本にこそ、時代を映しだす面白さがあるのだ。宴会でのかくし芸に悩むお父さん、まだ珍しかった女性ドライバーの話…。古本ライターが雑本の山から昭和を切り取る。
目次
大人の男はどこに消えた
憧れの大東京
旅と娯楽
科学とリクツ
暮らしの片すみ
時代をうつす本
ぼくの時代
著者等紹介
岡崎武志[オカザキタケシ]
1957年大阪府生まれ。立命館大学卒業後、高校の国語講師を経て上京。出版社勤務の後、フリーライターとなる。書評を中心に各紙誌に執筆。「文庫王」「均一小僧」「神保町ライター」などの異名でも知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
63
歌は世につれ。とは言うものの、本もまた世の移り変わりによって変化するものである。昭和に刊行された様々な本を紹介していく一冊。一口に昭和といっても64年間あるわけで、その範囲は広大。はとバスの観光案内があるかと思えばマンボの踊り方あり、楠田枝里子の科学案内があるかと思えば中島らもやいしいひさいちを輩出した伝説のプガジャありと、昭和の断片が散りばめられた造りとなっている。ミステリ読みとしては「猟人日記」と正木不如丘に興味をそそられるかな。本書で平成最後の年に来し方を振り返るのも、また一興ではないでしょうか。2018/10/14
ヨーイチ
44
カバー付きで扱ってきたので、読メで表紙の写真を見てニンマリ。自分だとは言わないが、こんな感じの子供が確かにいた。岡崎武志は初読み。題名がいい。この人の場合「コショ」ではなく「フルホン」が似合う。どっちが上等って意味では無い。廉価で無名の古書が沢山紹介されているが、題名から知れるように「その本が生み出された社会と時代」を語ることに重点を置いているので、知らない本の紹介でも十分面白い。「こんな本でも面白く読める岡崎武志」が面白いのだ。小生と一歳違いで、彼の感覚が親しみ易いせいもあるのだが。2018/02/03
阿部義彦
25
ちくまと相性の良い岡崎武志さんの古本と昭和の生活を彷彿とさせる書誌学。私と4年違いですのでほぼ同世代、おそ松くん、万博、ビックリハウス、プガジャ、ヘンタイよいこ新聞、等などの共通文化も楽しめたし、何よりも昭和と言う時代を古本というファクターを通して、鮮やかに生け捕りにして飽きさせません。ちゃんとした大人のいた時代、切符にハサミを入れて手と目で確認していた時代、日本世界文学全集が飾られていた時代。現金で給料が支給されていた時代、ジャズ喫茶の時代。アングラエログロの時代。今や本棚のない家も当たり前なのかな?2018/01/06
遊々亭おさる
18
刊行されたのは昭和。当時、誰もが知ってたベストセラーやためになる生活実用書などを通して昭和の庶民の暮らしを覗き見ようという一冊。今では誰からも忘れ去られ古本屋の片隅でひっそりと佇む二束三文本を通して。高度経済成長期のサラリーマンは宴会で披露する隠し芸に頭を悩ませ『宴会・招接待のすべて』を買い、建て売り住宅で一国の主となったお父さんは応接間のインテリアとして文学全集を買う。ネットもスマホも無いけれど幸せの形が見えた時代の生活。古本屋は本だけを扱っているわけではなく時代の空気の残り香も商品の一部なのだなと。 2018/04/20
まさ☆( ^ω^ )♬
7
古本の魅力満載の一冊。岡崎氏は、自分より10歳程上の世代なので、書かれている事が分からない(と言うか知らない?)所もちょいちょいあったのですが、様々な発見があり面白かったです。岡崎氏の著作、もっと読みたいです。それこそ、古書店で探してみるか!2022/10/30
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