出版社内容情報
失われた川の痕跡を探して散歩すれば昔の風景が現れる。橋の跡、コンクリ蓋、銭湯や豆腐店等水に関わる店。ロマン溢れる町歩き。帯文 泉麻人
内容説明
テレビの散歩番組でもよく出てくる暗渠って何?それはかつて川や水流だった跡地のこと。暗渠をさがせば街は探検の舞台となり、暗渠をたどれば土地の歴史が見えてくる。本書では、まず橋跡、車止めなど暗渠探しのポイントを開示。次に、夜の暗渠、文学や漫画作品と暗渠などの様々な魅力を伝え、東京を中心に、横浜、埼玉、大阪、神戸の主な暗渠も案内する。
目次
第1章 暗渠入門(暗渠散歩へのいざない;日常にひそむ暗渠;「暗渠サイン」を見逃すな!―暗渠ハンティングきほんの「き」)
第2章 暗渠のいろんな顔(車止め、集めて、比べて、分けてみた;蛇行する暗渠;排水管の継手と暗渠 ほか)
第3章 あちこちの暗渠(かんじる川・羅漢寺川―目黒川の支流;藍染川をたどる―巣鴨から谷根千まで;都心の暗渠 浜町川と龍閑川―ビルの隙間に、水門のむこうに、それはある ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チャーリブ
59
都内を歩いていると曲がりくねった遊歩道に出くわすことがあります。これはたいてい昔の川の跡。道の下にはまだ水が流れていたりします。いわゆる暗渠です。本書では、埋め立てられた川や用水も広い意味で暗渠と考えています。街の中に隠されている暗渠の痕跡の探索と推理が暗渠散歩です。主に都内の暗渠について書かれていますが、横浜、大阪、神戸、浦和の暗渠についても触れられています。暗渠を見つけるコツも書いてありますので、知らない街を歩くときにも役立ちます。かつて流れていた水流と風景を想像しながら歩くのも愉しいですよ。○ 2022/09/15
ホークス
53
とても面白かった。忘れていた大事なものを見つけた感じだ。暗渠というと真っ先に「千と千尋」のハクを思い出す。水に恵まれた日本には小川や水路が至る所にあり、その名残である暗渠も多い。本書の写真から、今まで気付かずに暗渠を歩いていた事を知る。暗渠の楽しみには大きく、「地理・歴史を極める探検」と「喪失感を玩味する」の二つがある様に思う。私は圧倒的に喪失感派だ。暗渠側に裏を向けて建ち並ぶ家々。欄干だけ埋め残された橋。先を見通せない曲がった小道。下水に転用された小川も多いと言う。薄暗い無人の暗渠はグッとくる。2019/07/23
yutaro13
48
世の中にはいろいろなマニアがいますが、こちらは暗渠マニアによる暗渠入門本。『東京23区凸凹地図』を片手にうちの近くの六郷用水を散歩したのをきっかけに暗渠にも興味が湧く、ということで同書で暗渠を担当していた本田創さんのこちらの本へアクセス。暗渠サイン(橋跡、車止め、下水設備、etc)を知っていると何気なく通っていた道も少し違ったものに見えてくるのかもしれない。2021/05/06
Tomomi Yazaki
44
探して探して、そして探してやっと見つけました。表紙の絵もとっても可愛い。書かれているのは恐らくだ~れも興味など持ったことのないであろう、暗渠。町によくあるクネクネした道、実は元は川。そんな川が私たちの足元に縦横無尽に流れていた。想像しただけでワクワクしません?地名につく谷や橋は、その痕跡。道に背を向けた家が並べば、そこも暗渠。銭湯や豆腐やさんも並んでいれば、暗渠の可能性は大。ちょっと気にかければ、暗渠の名残を見つけることが出来、ノスタルジックな想いに浸れる。そう。私も毎日暗渠を通って、通勤しているのです。2020/10/29
ばんだねいっぺい
35
東北人なので東北ヴァージョンが欲しいなと思った。旧土地台帳の絵図や公図を見ると地図の上にだけ存在する涸れ川「ワジ」のような「青線」がもういっぱいある。これもまた、「水のない暗渠」じゃないのかなぁと思ったりした。散歩しながら、タモリさんを気取り、「暗渠サイン」を見つけたいと思う。エリアとしての「地境」や「町境」、水を使った商売はヒントである。2019/07/29