出版社内容情報
敗戦のどん底のなかで、国産航空機誕生の夢を実現させようとする男たち。仕事に家庭に恋に精一杯生きた昭和の人々を描いた傑作小説。解説 阿川淳之
内容説明
戦争に負けた日本。男たちはどうやって生きていくのでしょうか?国産旅客機の開発を夢見る元中尉、進駐軍専用キャバレー経営から、みんなに夢を売る観光事業に転身する男。家族をかかえ悪戦苦闘しながらも、夢は少しずつ実現に向かうのでしょうか?妻を空襲で亡くし、ひとり娘の成長に気をもんだり、戦争未亡人との恋に悩んだり…。阿川弘之の娯楽傑作。
著者等紹介
阿川弘之[アガワヒロユキ]
1920(大正9)年広島県生まれ。東京帝国大学卒業後、海軍予備学生として海軍に入隊。中国大陸で敗戦を迎え、1946(昭和21)年に復員。志賀直哉に師事し、「年年歳歳」で作家デビュー。2015(平成27)年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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駄目男
6
最近、次々に復刊するちくま文庫の阿川作品はどれもお茶の間向けの大衆小説。軽妙洒脱が得意な書きっぷりで戦記文学を書いた同一人物とは思える作品。復刊本はこれで確か4冊目。同じように獅子文六、源氏鶏太とちくま文庫は復刊させているが、確かにどれも面白いと言えば面白い。しかし口当たりはいいが、時間と共に肝心な味を忘れてしまうのが玉に瑕。昭和30年代にはこの手の小説が多いに持て囃され多くの作品が映画化されたが、私は一本も見たことがない。だがここ数年、筑摩書房の取っている復刊という営業戦略はこれからも続けほしい。2018/02/10
ごいんきょ
5
阿川弘之と言えば海軍関連かエッセイ位しか読んだ事がありませんでした。氏はこう言う作品も書いていたんですね。 この作風、梶山季之に似ている様な気がするんですがどうでしょう。同じ広島県人だからと言う訳でもないでしょうけど。2017/12/15
りえぞう
2
敗戦後、当時の軍用機関係者が自国産の旅客機を作り上げるまでのドラマを、その周辺の人々やスチュワーデス、進駐軍相手のホステス上がりの愛人等を絡めた人間模様で、とても楽しく書き上げてある。日本人がエネルギーにあふれていた時代の物語だが、「プロジェクトX」的に肩に力が入りすぎずに、ユーモアを交えて描いてあるのでとても読みやすい。いい小説。それにしても、昭和の女は耐えていたんだな。スッチーもこの当時は結婚⇒寿退社が当たり前だったのか。2022/04/13