出版社内容情報
地球上の電気が消失した「絶電現象」は人類を襲う未曾有の危機の前兆だった。日本SF初の長篇にして圧倒的な面白さを誇る傑作が復刊。解説 日下三蔵
今日泊 亜蘭[キョウドマリ アラン]
内容説明
宇宙軍医官の水原は火星から帰航中に謎の閃光と遭遇する。一方地球ではあらゆる電気が一斉に機能を停止する“絶電現象”が起きていた。ふたつの現象に関連を見出した水原と宇宙省の人々は調査をはじめるが、事態は「光」を操る謎の侵略者による人類への壮絶な攻撃に発展するのだった。緻密な構成と魅力的な登場人物で圧倒的な面白さを誇る、日本SFの記念碑的傑作。
著者等紹介
今日泊亜蘭[キョウドマリアラン]
1910年、東京生まれ。戦前は上智大学付属の外国語学校やアテネ・フランセなどで諸外国語を学び、翻訳など文筆業に携わる。戦後、佐藤春夫の推薦により「桜田門」でデビュー、58年「河太郎帰化」で直木賞候補。「おめがクラブ」「宇宙塵」などのSF同人に最初期から参加し、長年にわたってSF・幻想小説の執筆を続けた。2008年、死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スター
71
舞台は21世紀だけど、最初の刊行が1962年なんで、正直古さは否めないが、むしろそれが、新鮮。 宇宙軍医官の水原は、火星から寄航中、謎の閃光と遭遇。一方地球では、あらゆる電気が一斉に機能を停止する絶電現象が起きていた。2つの現象に関連を見た水原と宇宙省の人々は調査を開始するが、事態は光を操る謎の侵略者による人類への攻撃へと発展する。 空を飛ぶ車はあるけど、スマホがないから、調べ物は図書館や、その道の詳しい人に聞いたり、東西の冷戦が21世紀になってもあったりするのに時代を感じた。2019/05/16
keroppi
35
日本SFの記念碑的傑作、国産長編SFの第1号と言われる本作。「インディペンデンスデイ」のような侵略ものかと思いきや、とんでもない展開へ。科学的な説明も色々あり、火星人も出てきたり、懐かしい昭和の風景もあったり。それでいて、主人公の家庭環境が色々とややこしかったり。なかなか楽しい一冊だった。2017/07/04
けいちゃっぷ
18
読む前はどうせ説教くさい内容じゃないかなと身構えたものですが、すみませんでした。 序盤はいささか取っ付きにくかったけど、面白さが加速。 なぜ正体不明の侵略者は問答無用で壮絶な攻撃をするのか・・・。 読み応え十分なエンタメで冒険SF。 面白かった。 460ページ 2017/07/20
かわうそ
9
今なお古びた印象のないSF的設定の論理構築やエンタテイメント性の高さと、ちょい古めで独特な言い回しのアンバランスが今読むとかえって新鮮で面白かった。2017/04/13
カエル子
6
【自分で一万円選書⑥】いわた書店で買ってきた6/12冊目。今日泊亜蘭なるキラキラネームが怪しい…と思いつつ、帯にある“エンタテインメント全部盛り”の文字に魅了されて購入。解説に記されていた著者ペンネームの由来を読んで仰け反る(笑)。そして1962年の作品であったことを知り、震える。50年以上前に書かれた数百年後(だいたい)を描いた未来の地球存亡をかけた闘いの物語。しかも敵は……。SFはもちろん、痴情のもつれだの友情だの人情物語もあって、本当に全部盛りでした。お腹いっぱい。2017/09/09