出版社内容情報
足を洗った賭博師がその経験を生かし探偵として大活躍、いかさま師たちの巧妙なトリックを次々と暴く。エラリー・クイーン絶賛の痛快連作 解説 森英俊
パーシヴァル・ワイルド[ワイルド,パーシヴァル]
巴 妙子[トモエ タエコ]
内容説明
賭博師稼業から足を洗い、農夫として質実な生活を送っていたビル・パームリーが、ギャンブル好きでお調子者の友人トニーに担ぎ出され、凄腕いかさま師たちと対決。知識と経験をいかして、ポーカー勝負のあの手この手のいかさまトリックや、思い通りの目が出るルーレット盤の秘密をあばいていくユーモア・ミステリ連作集。新訳「堕天使の冒険」を追加収録した完全版。
著者等紹介
ワイルド,パーシヴァル[ワイルド,パーシヴァル] [Wilde,Percival]
アメリカの劇作家・小説家。1887年、ニューヨーク生まれ。ヴォードヴィル用の一幕物で人気を博し、小劇場向けに書き下ろした100本以上の戯曲は全米の劇場で上演された
巴妙子[トモエタエコ]
1963年長崎市生まれ。お茶の水女子大学文教育学部卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紅はこべ
107
晶文社版も読んだが、すっかり忘れているのに我ながらびっくり。トニーは一応ワトソン役になるんだろうが、史上最も無能なお間抜けワトソン。人は好いんだけどね。だからビルも辛抱して付き合っているんだろうな。しかし一旦ギャンブルにはまった人間がビルみたいに完全に足抜けできるものか。トニーの持ち込む案件がいい再発防止になっているのかな。ビルとトニーはお互いギャンブルに再び溺れない抑止役になってるのか。2017/10/21
セウテス
85
〔再読〕本作は、カードゲームにおけるいかさまトリックを、謎解きとする短編集です。ビル·パームリーは、いかさま師としてギャンブルで生活をしていたが、破産した事を境に田舎に帰る事となる。1話目が父との和解の物語で、農夫として働き出すのだが、やがて友人の誘いからカードゲームのいかさまを見破る手伝いをし、ギャンブル探偵と呼ばれる様になる。カードゲーム云々は置いておいても、登場人物がたいへん魅力的で愉しめるだろう。水戸黄門的な展開なのに、毎回設定や謎解き結末への持って行き方が異なり、何となく大人のミステリと感じる。2023/02/19
Panzer Leader
52
「第90回海外作品読書会」自分の故郷に帰って来て地道に農夫となった若き元いかさま賭博師ビル・パームリーが、ひょんな事からトニーとミリー夫妻と知り合い、数々の賭博詐欺を暴いていくユーモア・ミステリー。この3人のキャラが魅力的な上、事件もバラエティーに富んでいて楽しく読めた。最初のビルが堅気に戻るきっかけとなった父親とのポーカー勝負から引き込まれ、お人好しのトニーに無理やり担ぎ出されてしまうやり取りも楽しい。アメリカの禁酒法時代を描いているのに、古めかしさが感じられず、むしろ新鮮に思えるのが不思議。2017/07/16
かわうそ
41
ギャンブルをテーマにしながらも殺伐とすることなく、ユーモアにくるんだ騙し騙されの知恵比べをゆったりと満喫できる極上のヴィンテージミステリー。とにかく楽してく読み心地のよい作品でした。2017/04/08
くさてる
33
あらゆるイカサマを見抜く天才と彼に心酔する善良な青年のデコボココンビによる連作短篇ん集。ポーカーをはじめとするギャンブルにまったく詳しくない私でもとても楽しく読めました。奇想天外なトリックや人間心理の綾を突いた仕掛けも面白いのですが、いやもうとにかくトニーが可愛く、ビルがカッコいい。人物が生きて楽しいユーモアミステリです。2017/05/24