出版社内容情報
アルバイトを辞めた日、古本屋になることを決めた。古書店の世界と本がつなぐ人の縁、店の生きものたち……。店主が綴る蟲文庫の日々。(早川義夫)
田中 美穂[タナカ ミホ]
内容説明
岡山・倉敷の美観地区、その外れに佇む古書店「蟲文庫」。10坪にみたない店内には古本と一緒に苔や羊歯のグッズが並び、亀などの動植物がいて、時には音楽イベントが開かれる。知識、予算なしからの開業奮闘記、人と本のつながりが生んだ思いも寄らない出来事、そして偏愛する苔の話まで。ユニークな古書店の店主が、帳場から見た日常を綴る。増補して文庫化。
目次
第1章 そうだ、古本屋になろう(そうだ、古本屋になろう;川西町の四軒長屋 ほか)
第2章 見よう見まねの古本屋(百万円でできる店;棚板を探して ほか)
第3章 お客さん、来ないなぁ(父の置き土産;ミルさん ほか)
第4章 めぐりめぐってあなたのもとへ(観光地の古本屋;二十五年前の小学生 ほか)
第5章 そして店番は続く(苔と古本の道;尾崎一雄と苔の道 ほか)
著者等紹介
田中美穂[タナカミホ]
1972年、岡山県倉敷市生まれ。古本屋「蟲文庫」店主。「岡山コケの会」、日本蘚苔類学会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
72
倉敷・蟲文庫で購入。20歳台で古本屋を開店してから今年で25周年。びっくりするほどもうからない仕事、ぎっくり腰になって一人前という程きつい仕事、古本屋くずれという言葉を聞かない程、イソギンチャクのようなじっとしている生活も、「やめようとおもったことがない」程楽しく続けているのが文章から伝わってきて、お人柄やお店の雰囲気も落ち着いている。苔と歩く・本の虫の本など読んだけど、小学生の頃は感想文も3行位だったエピソードも意外でした。解説であるように「本屋は本を売るのではなく、やはり自分を売る商売なんだと思う」2019/08/31
コットン
72
倉敷の古本屋さんの本。…と言うより根っから苔が好きで、苔系の本や苔・胞子のアンソロジストでもあるという素敵な人の本!2017/12/14
いちろく
50
胞子文学名作選で著者名を知り、倉敷を訪れる度に行く場所の一つになった蟲文庫。だからこそ、著者自身の過去や蟲文庫の歴史を知り驚く事が多い内容だった。エッセイが面白く、そして恐いと感じるのはこんな時。作品を通じてイメージしていた著者とエッセイを通じて経験談を知った後の著者。同じ著者である事は変わりないのに、知る前と知った後では違う。それでも、蟲文庫は私が好きな古書店の一つである事は変わりない。倉敷に行くとまた訪れたくなる。 2019/02/04
ちいらば
43
全く気負いが感じられない。ただただ自分ができる範囲のことを事をコツコツこなしていく。真面目に、そして自分に正直に生きているんだなぁと思う。そんなとても素敵な店主のいる蟲文庫にぜひ行ってみたい。2016/09/27
kei-zu
42
倉敷で古書店を営む女性店主のエッセイ。誠実で積み上げるような文章が印象的だが、本書の最初の方で開店の戸惑いについて連ねていたと思ったら、巻末では開店後20年が経過していました。著者の趣味は苔の観察とのことで、その分野の著書もあるそうです。もっとこの人の文章が読みたいな。訪れたい書店がまた一つ増えました。2025/04/18