出版社内容情報
20年に及ぶ週刊文春の名物連載「文庫本を狙え!」。そのスタートから4年間・171話分を収録。文庫出版をめぐる生きた記録。解説_平尾隆弘
坪内 祐三[ツボウチ ユウゾウ]
内容説明
「週刊文春」誌上で20年に及ぶ長期連載をつづける坪内祐三「文庫本を狙え!」。本書はその原型ともいうべきスタートから171回分を収録。古典的名作からサブカル・雑本など、毎月次々と刊行される文庫本のヤマのなかから、おすすめの1冊を毎週選び出す。かつては新刊書評であったものが、20年たつことで絶好の古本案内としても読むことができる。
目次
高見澤潤子『のらくろひとりぼっち』
山口瞳『江分利満氏の華麗な生活』
篠田鉱造『明治百話』上下
ルネ・ドーマル/巖谷國士訳『類推の山』
澤田隆治『上方芸能列伝』
金子光晴『絶望の精神史』
椎名誠『さらば国分寺書店のオババ』
三田村鳶魚『捕物の話鳶魚江戸文庫1』
産経新聞社会部『葬送』
唐沢俊一編著『星を喰った男』〔ほか〕
著者等紹介
坪内祐三[ツボウチユウゾウ]
1958年東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、同大学大学院修了。「東京人」編集部を経て文筆業に。明治文化、アメリカ文学、映画、演劇など幅広い分野を対象に執筆活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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今ごろになって『虎に翼』を観ているおじさん・寺
68
週刊誌の名物連載で毎週楽しみにしているのはこれである。適材が適所で相応しい連載をしている嬉しさ。坪内祐三は私の憧れの人の一人である。私が読メで書くレビューは、実はこの『文庫本を狙え!』をお手本にしている。私が下手糞なので読友さんに気付いて貰えた試しがないが(笑)。新刊文庫というのは大半が新しい古本である。だから文庫発売時、単行本発売時、執筆当時や連載当時、そして著者の人生という色んな時代の思い出を持っている。坪内祐三はそれにコラム執筆時を加えて時空間を往来しながらライブ感覚で魅力を伝えてくれる。大好き。2016/08/23
ヨーイチ
31
大雑把に言うと20世紀の終わり頃の文庫本書評と言うより紹介集かな?週刊誌連載故の「旬の気分」は推測しなければならない。各編毎に紹介したいネタ満載なのだが切りがないのでやめます。数えたわけでは無いが既読が十冊くらいかな?当時の週刊文春読者に「面白い文庫本」を教えてあげる物だとしたら、高名な本ばかりだと興醒めなワケで小生にとっては「ちょうどいい」位だった、としておこう(見栄をはって三割と言いたい気分もあるのだが、ウソはいかん)。続く2017/07/06
阿部義彦
22
私の贔屓のちくま文庫出たての新刊です。晶文社からも同じ題名で単行本化されてますが、文春連載時の初めから17回分がカットされているので今回の文庫が完全版となります!結構マニアックな文庫も取り上げるバランスの良さです。ハヤカワ漫画文庫が取り上げられて無いのが不満かも?こういう本はしばしば純文学に偏りがちですがそこは元「東京人」編集者だけあって、サブカル、漫画、雑本にも強く,つげさんや、「かっこいいスキヤキ」「TOKYO STYLE」田中小実昌、大槻ケンジ、みうらじゅん等守備範囲が広くて飽きません。資料性有り!2016/08/22
緋莢
21
上下巻各1400円だが、各頁平均二つは面白いエピソードやゴシップが 載っているから決して高くないパット・ハケット編『ウォーホール日記』 足繁く神保町に通う周恩来に親近感を抱く矢吹晋 編『周恩来 十九歳の東京日記』、田中小実昌さんが亡くなった時、『東京人』時代の取材を思い出した田中小実昌『いろはにぽえむ』・・・古典も雑本も揃った読書案内。2016/12/16
踊る猫
18
燻し銀、という言葉がしっくり来る。一冊一冊を丁寧に読み込み、イチロー選手が内野安打を積み重ねて行くようにコラムに落とし込む。デーハーさはないが、なかなか侮れない仕事をしていると唸らされた次第。もちろん哲学書や渋い文芸書の紹介も面白いのだけれど(永井荷風を読み返したい!)、蛭子能収氏や爆笑問題といったタレントが書いた文庫本の紹介のチョイスに「目利き」を感じさせられてしまう。ヌルいようでピリッと毒も効いている。好みの路線の書き手ではないが、プロフェッショナルな仕事の成果として見習おうと思わされた。なかなか見事2018/06/18