出版社内容情報
時は移れど人間の本質は変わらない。世相からマージャン・酒・煙草、風山房での日記までを1冊に収める。単行本生前未収録エッセイの文庫化第4弾。
山田 風太郎[ヤマダ フウタロウ]
内容説明
「政治家は与野党を問わず嘘っぱちの公約のラッパを吹き、国民はあんな嘘っぱちをいってやがらあ、とニヤニヤしながらこれを聞き、吹くほうはそれをまた承知の上で吹きたてる」。時は移れど、人間の本質は変わらない。世相から、マージャン・酒・煙草、風山房での日記まで―風太郎ならではの人間観が飄々とした筆致でつづられる。生前単行本未収録エッセイの文庫化第4弾。
目次
1 人間万事嘘ばっかり
2 かんちがいもおっかない
3 私の発想法
4 わかっちゃいるけどやめられない
5 風山房日記
6 終りの始まり
著者等紹介
山田風太郎[ヤマダフウタロウ]
1922年、兵庫県養父郡の医家に生まれる。『甲賀忍法帖』『くノ一忍法帖』などで数々の“風太郎忍法”を生み出し忍法帖ブームをまきおこす。1997年第45回菊池寛賞を受賞。2001年7月28日没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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山田太郎
45
なんか筒井康隆っぽい気もする。なんか発想が極端にとぶところとか。いっぱいありすぎてどこから手つけていいかわかんない作者さんではあります。2017/02/23
阿部義彦
13
風太郎さん初読みです。日記をいつか読みたいと思ってました。麻雀や相撲、趣味に関する話が面白かった。政治家へは子供ばかりと苦言ごもっとも。2016/07/21
Ribes triste
11
このくらい毒のある爺さんが私はたまらなく好きです。莫迦な話の中にもピリリと効いた言葉の切れ味。風太郎さんのエッセイを楽しみました。これだけ多岐にわたった小文があると、編集する人も大変だと思うのですが、絶妙の塩梅で編まれてます。2016/07/11
てら
7
エッセイ集。もちろん日下三蔵・編。ジャンル別、年代順に並べられているため、変遷や重複、風太郎の意識の変化などがわかりやすくなっている。小説だけではとても山田風太郎の「人間」には迫れないけれど、エッセイを読んでもやっぱり迫れないというあたり、やはりこの人は「忍法使い」です。だから「嘘ばっかり」なんですかね。小説ほどの妖刀ぶりは無いけれど、やはり無二のことを平気で書いてしまうお人であります。一方で、今では書けないような特定個人・集団をdisる内容でも、どこからも文句が出なかった時代だったなあという感慨も。2016/10/09
Katsuto Yoshinaga
6
このところ楽しみにしている山風先生のエッセイシリーズ。装丁とかなんだかほのぼのとしており、文章も飄々としている。ところが、「長生き礼賛はいかがなものか」「太平洋戦争はインドシナ、フィリピンを植民地から解放した」といったなかなか過激な発言。「(日本は)雨が多いのに靴を発明できなかった。牛車を生みながら、馬車に発展させられなかった」といった日本万歳に水をかける発言。明治の末期に生まれ明治期を建設したわけではないのに、明治人を標榜する人たちへの批判etc.が随所にあり、実に刺激的。さすが天才の仕事である。2016/08/12