出版社内容情報
匿名の電話の警告を無視してフリーダは婚約者の実家へ向かうが、その夜のパーティで殺人事件が起こる。本格ミステリの巨匠マクロイの初期傑作。
内容説明
「ウィロウ・スプリングには行くな」匿名の電話の警告を無視して、フリーダは婚約者の実家へ向かったが、到着早々、何者かが彼女の部屋を荒らす事件が起きる。不穏な空気の中、隣人の上院議員邸で開かれたパーティーでついに殺人事件が…。検事局顧問の精神科医ウィリング博士は、一連の事件にはポルターガイストの行動の特徴が見られると指摘する。本格ミステリの巨匠マクロイの初期傑作。
著者等紹介
マクロイ,ヘレン[マクロイ,ヘレン] [McCloy,Helen]
アメリカのミステリ作家。1904年ニューヨーク生まれ。ソルボンヌ大学に留学、パリとロンドンで美術批評家、新聞記者として活動し、1932年に帰国。精神科医ウィリング博士を探偵役とした『死の舞踏』(1938)でデビュー。1994年没
渕上痩平[フチガミソウヘイ]
元外務省職員。海外ミステリ研究家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
99
ウィリング博士シリーズ第4弾。現在では幾つも似た様な設定の作品が在るのだが、本作はこの謎を用いた先駆的なミステリだと思う。この謎で物語を構成するには、ホラーかサスペンスになるのが常道だが、本作は見事に本格として成功している驚きの作品だ。アーチーと婚約したフリーダは彼の故郷へ報告に向かう直前、謎の脅迫電話を受ける。やがて故郷に着くとフリーダの部屋が荒らされ、パーティーで殺人事件が起きてしまう。限られた狭い範囲でありながら、犯人を推理する事がかなり難しい。伏線の配置も意外な真相も、完璧と叫びたくなる傑作です。2019/08/19
yumiko
78
未読の作品が少なくなっていく中、巷の評判も高い一冊を。どこか裏のありそうな美女が匿名の電話で脅迫を受ける冒頭、毎度のことながらここからもう見事だ。彼女にぞっこんな医大生、ロマンス小説家のその母親、隣人の上院議員夫妻にその姪。怪しげな血縁者が殺され、ウィリングが登場してからはもう一気読み。ウィリングが精神科医であることがこれほど活かされた作品は他にないのでは。テレパシー?ポルターガイスト?と思ったところも、オカルト風味の味つけに留まらない。伏線の張り方も美しく、読み返しても楽しい一冊に間違いないと思う。2018/12/25
HANA
52
結婚を前にした女性にかかってくる謎めいた脅迫。謎めいた冒頭から興味を一気に持って行かれる。ただ事件自体のトリックというか真相は当時としては画期的なものだったみたいだが、流石に今となってはいささか手垢に塗れすぎているような気がした。それにそれが提示される場面がいささか唐突で、何故それが判明したのか読者としてはいささか腑に落ちない。あとメインヒロインが知っている事実が、最後の部分まで読者に提示されていないのが気になるなあ。それが書かれていたら冒頭で犯人わかったろうに。ミステリよりサスペンスとして楽しめました。2016/01/10
星落秋風五丈原
51
精神科医ウィリング博士シリーズ。場末の歌手がいいとこのぼんぼんと実家に行こうと思った途端に「来るな」と電話がかかって来る。この冒頭から彼女達を待ちうける実家と近親者の描写までストーリーがとてもスムーズに流れていく。実家でも電話がかかってきたので容疑者は最初からかなり絞られているパターン。確かに今回は精神科医の要素がないと見つけられなかったかも。2015/10/04
geshi
39
少ない容疑者の閉じた関係性の中でも疑いを散らし、ピリピリとした嫁姑関係と不穏な空気を感じさせるストーリー展開の妙。精神科医探偵とは言え「ポルターガイスト」の正体については推理可能なのか?とは思うし、謎解きのタイミングで出てきたのがご都合主義に感じてしまった。ただし、そこからのツイストのかけ方はさすが。フーダニットのロジックの伏線もちゃんと置いてあって綺麗に着地させている。まあ、さすがに今読むとネタは古臭いし、このネタと本格ミステリとは相性が悪いと思う。2016/02/06