出版社内容情報
五分の魂はかくもおかしくうつくしくいとおしい。緻密でユーモアあふれるタッチで描かれた虫たちの暮らし。帯文=養老孟司 解説 メレ山メレ子
内容説明
細密にしてユーモア溢れるタッチで描かれたアリ、ミツバチ、クモ、セミetc.の世界。奇妙でかわいい昆虫たちの生態が、絵巻物やお伽草子といった日本古来の想像力にのせてのびのびとファンタジックに展開される。小さきものたちへの愛にあふれ、思わず身のまわりに目をとめたくなる昆虫漫画の金字塔にして、虫絵本の分野でも活躍する著者の原点が待望の文庫化。
目次
瓢箪虫
山の幸
稲虫
三尸の虫
貝殻天使
虫けら様
くものはなし
土蜘蛛草紙
鼠の草子
一人娘
蚤のサーカス
雪迎え
著者等紹介
秋山あゆ子[アキヤマアユコ]
1964年、東京生まれ。1992年『月刊漫画ガロ』(青林堂)に「一人娘」を掲載しデビュー。以降、昆虫を題材とした短編を断続的に発表し、2002年に初の単行本『虫けら様』(青林工藝舎)を刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ままこ
100
小説かと思ったら漫画だった。”ガロ”出身者らしい叙情的な独特の作風で不思議な世界観に惹きつけられる。小さきもの達を題材にした短編集。「瓢箪虫」諸行無常。クスッと笑える虫と法師の交流が微笑ましくお気に入り。表題作シリーズは奇妙でシビアな虫の生態をユーモアを交えながら愛情をもって描かれている。「雪迎え」飄々としていてしみじみ。「土蜘蛛草紙」不気味でユーモラス。「虫けら帖」虫のトリビア面白い。「鼠の草子」異類婚姻譚。切なさとおかしみが同時に込み上げる。解説のメレ山メレ子さんの解説も良かった。2020/04/12
sin
66
“虫”僕にとってのイメージはマシーン…その小さな体に秘められた精密で正確な有様を見て感じること…しかし天然自然に一番近いと感じる存在でもある。そんな“虫けら様”と感情まみれの人間が触れ合う時、その微妙なあやが産み出した物語。もの思わぬ虫たちが作者の筆を伝って僕たちに語りかけてくる。普段、気にとめることの少ない、すぐそばで繰り広げられている彼らの営みが擬人化することで身近に寄り添ってくるようだ。物言わぬものたちの営みに確かな主張があったのだ。2015/09/19
Bugsy Malone
65
虫たちの生態や人とのふれあいを描いた漫画です。とても繊細で優しいタッチの絵とお話しは、懐かしくてあたたかくて、時に虫たちの定めにホロッときたりクスッとしたり。登場する虫たちは昆虫全体からすればほんの一部、いったい他の虫たちにはどんな物語があるんだろう、そんな事まで考えて、ついそこらにいる虫たちに「おい、虫けら様、幸せかい」などと声をかけてみたくなる、そんなとびきり素敵な本でした。メレ山メレ子さんの解説も素晴らしかったです。2017/08/11
ちょろこ
60
虫けらなんて言葉はもう使えません、の一冊。虫けらなんて言いがちだけれど、これを読んだらいやいやとてもそんな言葉は使いたくありません。むしろ「お虫さま」と言いたくなるぐらい。虫だって虫ライフを日々必死に生きているんだよね…。まるで虫の世界で見聞きしたかのようなストーリーに心奪われ、綺麗で繊細な絵に目を奪われた。「一人娘」が一番好き。2017/08/20
たまきら
41
読み友さんの感想を読んで、あっ、懐かしい!と手に取りました。昆虫好きにはたまらないこの人の世界観。今昔物語から始まり、「座敷鷹」など日本の昆虫ラブ♡は世界に誇れる芸道だと思います。2023/04/24
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