出版社内容情報
日韓併合期、朝鮮半島で人々は何を感じどう暮らしていたのか。人との交流から朝鮮の自然や文化まで、朝鮮半島での日常を鮮やかによみがえらせる。
内容説明
日韓併合の時代に、人々はなにを感じ、なにを考えていたのか。印象的なのは、この時代を生きる人々が、自明のことのように、海を越え、それぞれの人生を切り拓く姿であろうか。私たちはどのような時代に生きていても、「良いひと」に出会い、「美しいもの」に出会うことができる。日韓併合の時代を知ることは今日の日韓関係を理解するにも有益である。幼少期の思い出から、文化、自然まで、名エッセイを集めた文庫オリジナルアンソロジー。
目次
第1章 子どもたちの朝鮮
第2章 朝鮮の少年たち、日本へ行く
第3章 こんな日本人がいた
第4章 出会い八景
第5章 作家たちの朝鮮紀行
第6章 街と風景と自然
第7章 朝鮮を見て、日本をふり返る
著者等紹介
鄭大均[テイタイキン]
1948年岩手県生まれ。韓国系日本人。立教大学、UCLAで学ぶ。81年から95年まで韓国の啓明大学校外国学大学等で教鞭をとる。現在、首都大学東京都市教養学部特任教授。専攻は日韓関係論、在日外国人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨーイチ
29
一部の人達によると、戦後に我々が認識して来た歴史は自虐史観なのだとか。ネットを見ても恐ろしいげな言説に簡単に触れる事が出来る。さて、朝鮮地域とは何だったのか、というと特に勉強した訳でも無かったので、甚だ心許ない事に気が付いた。日本臣民としての朝鮮人、植民地経営の実態など中立的な記事を読んで見たかった。そして本書は歴史の素人には打ってつけの好著であった。これくらいピッタリ嵌るのも珍しい。見つけた自分を褒めたい位。日本人だけではなく、朝鮮人の作品も収録してあって、珍しいし面白かった。続く2015/08/30
ひろゆき
3
題名どおり。その当時の実際の雰囲気を知りたくて読む。金素雲のものが特に面白い。関東大震災での朝鮮人虐殺の報を知りながら、堂々出掛けて日常を押し通す。朝鮮民謡の出版のための綱渡りの人生が痛快。谷崎潤一郎、宇垣一成の朝鮮料理はまずい、にはまったく同感。佐多稲子の、創氏改名に対する朝鮮の若い女性達の率直な感想(任意なら広がらないだろうという)が心に残る。李孝石は初めて知り、他のも機会あれば読みたい。2015/08/15
酩酊斉案山子
1
一般人からみた併合期のエッセイ集だけど趣旨的に抵抗運動の類はないので物足りない人には物足りないだろうな。興味深いのは料理に関する記述で「口に合わない」と芳しくない評価が目立つんだけど、これは当時の日本人が今ほど多様な味を食べつけなかったのと、トロを捨てていたなど味覚じたいが変化したことが大きいように思う。キムチがほぼ登場しない(おそらく一回だけ)など、朝鮮側の料理も変わってるのかもしれないけど。2018/03/20
Kanako Kondo
1
今まで歴史のことばかり学んできて、エッセイというものをないがしろにしてきたなと感じました。 書いてあることが全部事実ではないにせよ、当時の人が何を感じ、どんな生活をしていたのかに思いを馳せることができて幸せでした。2018/03/17
くらーく
1
当時の内地にいる日本人は、朝鮮の景色の美しさ、湿気の少ない快適な気候なんかが共通点なのかな。あと、舌の肥えた人には料理のまずさも共通しているようだ。でも、材料(特に肉)は上質だったようですね。 また、内地にいると朝鮮人差別はあまり無く、朝鮮にいる日本人が支配者的態度を取っていたようです。今のヘイトスピーチのような嫌韓文章はありませんでした。まあ、本にまとめているので当然かな。 ただ、ところどころに日韓の国民性を示す表現があります。この辺は変わらない、変えられないのかも知れません。2017/08/12