出版社内容情報
永井荷風の小説などに描かれた私娼窟・玉の井。その実態は残されていない。同時代を過ごした著者による、貴重な記録である。解説 井上理津子
内容説明
永井荷風「〓(ぼく)東綺譚」で知られる玉の井。関東大震災後に私娼窟を形成するが、東京大空襲によって灰燼に帰した。戦後は赤線地帯となって甦るも、売春防止法施行によって1958(昭和33)年3月31日最後の日を迎えた。しかし、その実態はほとんど伝えられていない。本書は同時代に生きた著者が、自らの体験と取材をもとに、人と街の姿を書き残した貴重な記録である。
目次
暗い青春
私娼窟玉の井の誕生
魔の迷路/娼家の構造
下駄をはかせぬ病院/迷路を泳ぐ名士たち
解放はありがた迷惑
『〓(ぼく)東綺譚』の周辺
奇縁ずくめの荷風と高見順
本所に多かった私娼/玉の井娼婦の生態
主役は東武電車/太宰治と菊谷栄のこと
エノケンと花電車/誰も知らない小林多喜二
玉の井名物、交番 風呂屋さん お稲荷さん
玉の井と犯罪
始祖バラバラ事件
華やかでやがて淋しい終焉
新興鳩の街繁盛記
著者等紹介
前田豊[マエダユタカ]
1912(明治45)年東京市本所区番場町(現・墨田区本所)で生まれる。東京府立第三中学(現・両国高校)をへて、演劇活動に参加。松竹ニューフェイスや興信所勤務も経験する。「長谷川伸の会」「新鷹会」の会員となり『大衆文芸』誌に小説を発表。1969(昭和44)年に「川の終り」で第35回オール讀物新人賞を受賞。1990(平成2)年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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