出版社内容情報
今なおアジア全域で大きな影響力を持つアジアの歌姫テレサ・テンの本当の姿とは? 精緻な海外取材と関係者の話から真の姿を描き出す傑作評伝。
内容説明
アジアの歌姫、テレサ・テンこと〓(とう)麗君の影響力は今も計り知れない。しかし晩年は歌手活動休止や政治的な言動が取り上げられることが多くなっていた。…なぜ歌姫として生き続けることができなくなったのか?各国への取材を通しテレサ・テンを一人の「人間」として描く傑作評伝。没後20年、この間ダイナミックに動いた東アジアの情勢と関係者が初めて語るエピソードを大幅な改稿でおくる。
目次
プロローグ 進む伝説化
第1章 中華民国(台湾)
第2章 日本
第3章 香港
第4章 中国大陸
第5章 パリ
第6章 祖国を求めて
エピローグ テレサ・テンが見た夢
著者等紹介
平野久美子[ヒラノクミコ]
東京生まれ。作家。出版社勤務を経て、世界各国を取材して歩く中、1970年代から頻繁に訪れている東アジア、東南アジアの歴史、文化と日本との関わりを題材に執筆活動を続けている。2000年『淡淡有情』で第6回小学館ノンフィクション大賞を受賞、2011年『水の奇跡を呼んだ男』(産経新聞出版)で第60回農業土木学会著作賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たす
7
コロナの台湾国内感染が爆発的に増えた今年初夏、台北地下鉄のホームでは、テレサ・テンの歌声と音声でコロナ対策を呼びかけ人々を励ます映像が流れていた。後で調べたところ、テレサ・テン文教基金会と台北市政府が作成した映像だった。亡くなってから30年近く経つのに、コロナ時代という困難な時を生きる人々の心にすっと入り癒やしてくれる彼女の声。生前の彼女も、国共内戦や祖国の分断、海外に移住し必死に生きてきた華僑等、苦難の時代を生きた華人たちの心の支え、ある種信仰としての「祖国中国」を体現するアイコンとなっていたのだろう。2021/08/27
OjohmbonX
5
テレサ・テンは、母親経由で大好きになった。単に「歌謡曲の歌手」ではなく、その生涯は台湾・華人社会の歴史と強くリンクしている。父親は共産党に敗れ台湾に渡った国民党の軍人で、貧困の中で育つ。偽造旅券事件も個人の問題ではなく、台湾(中華民国)が国連から脱退し、国際的に孤立していたことが背景にある。高等教育を受けず、大人になって複雑な現実に直面しても、考える枠組みを持てずに大きな苦悩を抱えるスターの悲しさも描かれている。未だにベストアルバムが毎年出続けていて、現在185thアルバムまで出ているのだから驚異的。2021/07/29
Tetsuto
5
台湾生まれの鄧麗君(デン・リーチュン)は、日本デビューする前から既にアジアの中国文化圏でスターだった。蒋介石と共に大陸から逃げてきた外省人の二世。引き裂かれた祖国を思い、「私は中国人」と語り続けた。日本から見ると、日本の歌を中国語で歌って中国や香港、台湾に広めた功績はとても大きい。テレサ・テンの情感あふれる歌声は、生きる場所を転々とせざるを得なかった忍ぶ生き方から来るのだろう。それはとてもアジア的であり、とても日本的でだと思う。今はテレサのようなスターはいない。高雄にある記念館に行ってみたい。2015/06/14
つちのこ
4
飽きもせず、テレサ・テン三連発。『テレサ・テンの真実』『 私の家は山の向こう』と読んできて、この不世出の歌姫の生きざまが少しわかったような気がした。彼女の歌を何度も聴いているが、その声色にうっとりとしてしまうのは、この先も変わらないと思う。(2010.1記)2010/01/05
Kuliyama
2
テレサ・テンの偉大さを改めて認識しました。お薦め致します。2015/07/06