出版社内容情報
水木サンが見たこの世の地獄と天国。人生、自然の流れに身を委ね、のんびり暮らそうというエッセイ。帯文=外山滋比古、中川翔子。解説=大泉実成
内容説明
水木サンが見たこの世の天国と地獄をユーモアたっぷりに綴ったエッセイ。おいたち、鸚鵡にみとれて命拾いした戦争体験、妖怪について…。人生にはいろんなことが起こって当たり前、下手にいじくり回すより、自然の流れに身を委ねたほうがいい。あくせく競争に追われるより、南国の楽園のように、のんびり暮らそう。
目次
1 水木しげるのすべて(「水木しげる」のすべて;鬼太郎秘話 ほか)
2 蝶になった少女(娘よ あれがラバウルの灯だ;ラバウルから片腕で帰還 ほか)
3 お化けは実在する(妖怪;お化けは実在する ほか)
4 死ぬまで幸福になる方法(わたしの好きなジョーク;マイソングマイライフ ほか)
著者等紹介
水木しげる[ミズキシゲル]
1922年生まれ。鳥取県境港市出身。漫画家であり、妖怪研究家でもある。太平洋戦争時ラバウルで爆撃を受け、左腕を失う。戦後、魚屋、輪タク屋、アパート経営などを経て紙芝居を書き始め、のちに貸本漫画家に転じる。1965年『テレビくん』で講談社児童まんが賞を受賞。2010年文化功労者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
83
戦時中に現地の住民との交流や思い出が多く描かれていた。その時水木さんの感じた「彼らは生きるためにちょっと働いているという感じ、逆に日本人はややもすると働くために生きているのではないか」という話が印象に残った。戦争という理不尽さは水木さんの本でたくさん描かれているがそれでも描ききれないことは山ほどあったと思う。豊かな暮らしや物に囲まれた暮らしをするために、それぞれの人生でもっと大切な時間、例えば好きなことを犠牲にした生き方こそタイトルの「人生をいじくり回してはいけない」が意味しているのだと感じた。2015/12/14
Shoji
76
人生を積み重ねてきた人の言葉には含蓄があります。この本には、死地を通り抜けて来た水木しげるさんの価値観が書かれています。さぞかし厳しい道のりだった筈なのに、その価値観の押し付けは全くありません。ユーモラスです。おおらかな気持ちになりました。人生をいじくり回してはいけない。まさにタイトル通りだと思う。これからの人生、奇跡を信じて生きて行こうと思った。2017/06/22
馨
61
好きなことを仕事にし、好きなことだけをして生きてきたとおっしゃる中に、ラバウルでの想像を絶する戦争を経験され、土人との、ふれあい等から学んだ哲学的な考え(ゲーテ)や強い芯も感じます。妖怪に対する思いも素敵!世の中に妖怪がいると思うことは悪いことじゃないし昔の人の不便な生活に対する感情が生み出したものと考えると納得です。2015/06/13
yamatoshiuruhashi
54
水木センセイのエッセイ集。自ら書かれたり聞き書きだったりを集めたもの。「テレビくん」を少年マガジン誌上でリアルタイムに読んで以来のファンの一人としては、特別目新しい話題はないのだが、死線を乗り越え、尋常ならざる経験をしてこられた人の話だけに、語り口、表現が変わっただけで、また読んで染み込むことがある。2024/08/11
みち
28
この本を読んで「戦争がない時代に産まれただけで幸せだ」という父の言葉を思い出した。水木さんの戦争体験は明るく書いていても、本当に悲惨な経験だったと思う。貴重な体験を読ませて頂けた。そして、妖怪がいる。と想像を豊かに膨らませられる所が素敵だなーと思いました。大人になるにつれ、想像したり、妄想したりする事が無くなってきているので、できれば、そういう楽しさを取り戻したい。2018/11/15