出版社内容情報
夫が生前書き残した「別れの手紙」には感謝の言葉が綴られていた。著者最晩年のエッセイ集。巻末に黒柳徹子氏との対談を収録。
内容説明
戦後間もなく脇役女優と雑誌記者が恋に落ちる。既婚者だった二人が困難を経て正式に結婚したのは二十余年後、著者六十歳のときだった。夫の没後、書斎の戸棚で見つけた「別れの手紙」。そこには、面と向かっては何も言わなかった明治生まれの夫から妻へ感謝の言葉が綴られていた―。亡き夫への思いを込めた最晩年のエッセイ集。巻末に黒柳徹子氏との対談を収録。
目次
一九九四年…
一九四五年…
一九五五年…
一九六八年…
一九九〇年…
一九九五年…
著者等紹介
沢村貞子[サワムラサダコ]
1908‐1996。東京・浅草生まれ。府立第一高女卒、日本女子大学中退。在学中に新築地劇団に入団、治安維持法違反で獄中生活を送る。その後日活に入社し、1934年映画界にデビュー、小津安二郎監督作品などで名脇役として活躍する。エッセイも数多く発表、77年「私の浅草」で日本エッセイスト・クラブ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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もりくに
67
「映画芸術」元社長の大橋恭彦さんと、女優で随筆家の沢村貞子さんの「二人で歩いた五十年」。「貝のうたは、あんたの半自伝 だからね、その後の僕たちの暮らしを、二人で書いてみようか・・苦労ばっかりだったけれど・・」と殿。それから十年、「来年はわれわれも金婚式ってわけだからなあ―よし、じゃあとにかく、僕から書き始めることにしよう」と書いた第一稿を、沢田さんに見せないまま、遠くへ行ってしまった殿。遺稿の中で、「ぼくが四十年近く生きていた人生の中であなたほど純粋で、人にやさしく、善良な女性は初めてだ。」と激賞。→ 2025/02/26
ちいさな図書館
12
泣きました。そして、背筋が伸びました…。結婚してしばらく経ったらぜひ読んでみてもらいたい一冊。愛し合うということは、確認し合うことでもありますね。結婚したら終わりじゃない。常に確認し、思い出し、そして新しく更新していく。何でも語り合う夫婦でありたいと強く思いました。献立日記にも脱帽です!2014/12/30
fumikaze
7
著者の沢村貞子は 昔 脇役俳優として有名だった人。旦那様へのラブレターのような感じで、亡くなった夫への思い出を綴っている。書くことで私達は身内を喪った自分の気持ちを落ち着かせ癒していくことにつながるのかもしれない。ただ、普通の人はそれを日記のように書いて終わりだが、有名人の場合はそれが本になってしまうんだなぁ。2015/08/22
sanukinoasayan
3
女優沢村貞子さんが家人である故映画・演劇評論家大橋恭彦氏との、50年に渡る生活を振り返った本作。戦前左翼女優として官憲に拘束され、戦後互いに家庭を持ちながら出会い、事実婚へと移ろい、60歳にしてやっと戸籍上も夫婦となり、80歳にして仕事を引退した二人のエピソードには、現在では不倫として非難されがちな側面もあるのでしょうが、ここで描かれる二人の瑞々しくも繊細な互いを思いやる関係は美しく、読後しばらくその余韻から抜け出せませんでした。2021/09/07
さっさん
2
★★★★★2023/04/29