出版社内容情報
夢枕獏がジャンルに囚われず、古今の「鬼」にまつわる作品を蒐集した傑作アンソロジー。坂口安吾、手塚治虫、山岸凉子、筒井康隆、馬場あき子、他。
内容説明
古来より日本人の心のありかたに強い影響を与えてきた“鬼”。古典の説話、小説、コミック、評論に至るまで、数多ある“鬼”にまつわる作品の中から夢枕獏を唸らせたものばかりを集めた傑作アンソロジー。坂口安吾「桜の森の満開の下」、手塚治虫「安達が原」、馬場あき子「鬼の誕生」、筒井康隆「死にかた」、田辺聖子「鬼の歌よみ」など１５作収録。
著者等紹介
夢枕獏［ユメマクラバク］
１９５１（昭和２６）年、神奈川県生まれ。７７年に『カエルの死』でデビュー。「キマイラ」「魔獣狩り」「陰陽師」「餓狼伝」など続々と人気シリーズを発表し、ベストセラー作家となる。８９年に『上弦の月を喰べる獅子』が第１０回日本ＳＦ大賞、９８年に『神々の山嶺』が第１１回柴田錬三郎賞、２０１１年発表の『大江戸釣客伝』で第３９回泉鏡花文学賞、第５回舟橋聖一文学賞、第４６回吉川英治文学賞を受賞する（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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なつ
36
古典から漫画まで幅広いジャンルの作品から選出された｢鬼｣にまつわるアンソロジー。どれもゾッとするほど傑作揃いです。怪物の鬼も、人の心から生まれた鬼も、怖くてどこか哀しい。だからこそ昔から題材として愛されているのかも。坂口安吾さん｢桜の森の満開の下｣は美しい情景と人の業の深さが印象深く、山岸凉子さん｢夜叉御前｣は非常に狂気を孕んでいるしラストがエグ過ぎる・・・2020/11/10
安南
35
おもしろそう！と考え無しに購入したら、半分ぐらいは既読だった。鬼に纏わる短篇はもちろん、エッセイ、漫画などバラエティに富んだアンソロジー。やはり安吾の『桜の森の満開の下』が何度読んでも素晴らしい。筒井康隆『死にかた』を読み理由なき不条理な殺戮ほど怖いものはないのに、こと鬼に関しては情念や、恨みや執着が怖さの重要ポイントであることに気が付いた。他に田辺聖子『鬼の歌よみ』など《芸術の鬼》達の姿も。2014/09/20
いちろく
29
紹介していただいた本。夢枕獏さんが編著した鬼のアンソロジー。最初が大好きな作品「桜の森の満開の下」だった事もありハイテンションのまま最後まで読了。人の心の闇、負の感情の内容から始まり、評論、そして、「死にかた」に登場するクレイジーな鬼等、バラエティに富む鬼の世界観。古典、近代文学、マンガ等、幅広いジャンルから集めただけでなく、内容の深さ、掲載順も凄く、鬼というテーマを通じて読む側に訴えてくるモノがある。ただ単に売れ筋の作家さんを集めただけのアンソロジーとは、一線を画す。面白かった。紹介感謝！2015/11/20
TSUBASA
26
近代文学、漫画、古典、民俗学、現代文学、エッセイと多種多様な形での鬼についてのアンソロジー。赤い体に虎の褌、角の生えた大男といういかにもな鬼ばかりでなく、その語源「隠」に近しい怪異が多かったように思われる。山岸涼子『夜叉御前』の恐ろしさにゾッとしたり、筒井康隆『死にかた』のいつも通り理不尽な筒井節に笑ったり、田辺聖子『鬼の歌よみ』で文系鬼の面倒臭さに田辺氏が入れるツッコミが楽しかったりと面白い話も多数だったが、鬼の来歴について語った馬場あき子『鬼の誕生』は実に興味深かった。色々な鬼を愛でたい方は是非。2018/10/28
ヒダン
19
鬼をテーマに古今の小説、漫画、評論を集めたアンソロジー。今昔、宇治拾遺の古文は理解しきれてないように思うけれど、どれも鬼の世界にどっぷりと浸れる話だった。山岸涼子『夜叉御前』は怖すぎ。筒井康隆の『死にかた』は急にカラリとした雰囲気で今までの流れを切っていて印象に残る。しかし最後まで読むとこの鬼は異物として混じっているわけではないことが分かる。馬場あき子の評論『鬼の研究』と田辺聖子『鬼の女房』は一冊丸々読みたい。評論もあって鬼とは何か、鬼に何を期待しているかが一冊全体から見えてくる構成が素晴らしい。2016/03/19
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