内容説明
「イクメン」という言葉に代表されるように、父親も育児に参加する時代である。しかし自然界を見渡せば、太古の昔からオスが子育てに協力する生きものは少なくない。コウテイペンギンのオスは、冬の南極で、4か月もの間飲まず食わずで、エサ探しに出かけたメスの代わりに足の上で卵を温め、ヒナをかえすという。本書では動物や昆虫などのオスの子育てに焦点をあて、その奮闘ぶりを紹介する。
目次
第1部 生物にとって「子育て」とは何か?(「男」の存在理由;「寿命」という戦略;生物にとって「子育て」とは何か?;「子育て」を進化させた人類;「夫婦」と「子育て」)
第2部 子育て上手なオスに学べ!(魚類の子育て;両生類の子育て;鳥類の子育て;哺乳類の子育て;虫たちの子育て)
著者等紹介
稲垣栄洋[イナガキヒデヒロ]
1968年静岡市生まれ。岡山大学大学院農学研究科修了。農学博士。専攻は雑草生態学。農林水産省、静岡県農林技術研究所等を経て、静岡大学大学院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ツキノ
6
毎日新聞の書評欄で小島ゆかりさんが紹介していた本。読み物としてもおもしろい。文章がとてもいいのです。それにしても生きものたちの子育てを観察して考察した研究者がたくさんいる、ということ。これまた素晴らしい…!ヨシタケシンスケさんのとぼけたイラストも好き。2014/09/20
ひとん
4
魚、鳥、虫、さまざまな生き物の子育ての形。面白かった。2014/12/03
K K
3
面白かった!爆笑ものの章もあります。あまりに愛おしい生き物たちに萌えました。どの動物、虫もイクメンがモテるらしい。しかし、人間より下等とされているマーモセットの方が人間よりイクメンなんて悲しいではないですか。相手が死んでもいたいに寄り添うツル、小石をむやみに運び、捨てられないようアピールするクロサバクヒタキ、オスが妊娠するタツノオトシゴ、メスが死ぬと性転換するクマノミ、マメなオスがモテるトゲウオ、オスが落ち葉で塚を温め卵を守るツカツクリ。。いやー、人類はやはり先輩たちには叶いません。2016/08/23
うたまる
3
生き物、とりわけオスにとっての子育て論。前半は子育ての意味・役割・仕組みについての研究報告、後半は個々の生き物の具体例で構成。前半で興味を惹かれたのは「生物の世界ではオスとメスというものは人間が思うほど厳密でない」「人間は学ぶことが多いため敢えて発育を遅くしている」など。後半では「鳩やコウモリなどオスでも授乳する種がいる」「セアカゴケグモのオスは受精率を上げるためメスに捕食される」「タガメのメスは子育て中のオスと交尾するため同属の子殺しする」など。メスの性戦略に翻弄される数多のオスの姿が物悲しかった。2015/12/06
ふろんた2.0
2
★★★★2017/03/27