内容説明
浅草寺の境内にたたずみ、通る人を見つづける。これと思う人に声をかけ、山門の壁ぎわに立ってもらい、40年。撮った人は1000人を超えた。1973年以来、写真家・鬼海弘雄がいまも撮り続ける肖像群。その中から80人の他人とは思えない世間のひとたち、誰しもが「王」であり、強い存在感で迫る。初出100人以上、また間にエッセイを挟む。写真についての考えを語ったあとがき付き。
著者等紹介
鬼海弘雄[キカイヒロオ]
1945年山形県生まれ。法政大学文学部哲学科卒業後、遠洋マグロ漁船乗組員、暗室マンなどのさまざまな職業を経て写真家に。長年にわたりテーマを追い続ける厳格な表現行為で知られ、インドや東京各地を撮り重ねるシリーズも継続中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
55
写真家、鬼海弘雄さんのライフワーク、浅草で見かけた人たちのポートレート。どの人も、一見して「濃い」。タイトルは『世間のひと』だけれど「普通の人」では無い、どこか「普通」や「平均」からは弾き出されたような飛び出したような人たち。私なら、気にはなっても、とても声などかけられない。同じ人の10年後という写真も何枚かあり、なんとも胸が痛むような複雑な気持ちになった。写真に添えられた短いキャプションが、人物像をうまくあらわしている。鬼海さんのエッセイもいい。2017/10/08
たまきら
27
文庫サイズでたのしむ鬼海さんのポートレートです。大きい写真集も大好きなんですが、文庫版の良いところはなんか秘密めいた親しみが持てるところ。そして、時系列にぺるそなを楽しめるところでしょうか。浅草は庭のようなものですから、数人知っている人が登場するのもおかしかった。ギャラリーエフにおいておきたいなあ…なんて思いながらそっとめくって楽しみました。2019/12/04
だーぼう
25
自分だったら、この写真集に載らない…全然悔しくない!見てるだけでもう、お腹いっぱい胸いっぱい。ブログに感想を書きました。2017/03/23
ひねもすのたり
13
本書は鬼海弘雄さんの写真集を文庫化したものです。 浅草寺境内に佇み、道行く人に声を掛けて写真を撮らせてもらう。 期間は1973年からの40年間。 本書には80人を超える「世間の人」が収められています。 浅草はいろんな意味でディープな街ですが、写真に写ってるのもすげぇ~濃ゆいキャラクターの人たちばかりです。 彼(女)たちはどのような物語を秘めているのだろうか?そんなことを考えながら頁を捲ると、飽きることがありません。 ちなみに書影は「笑うおばあちゃん」1986年撮影です。2014/08/15
栗 餡子
9
「PERSONA」の様な大判でも、本書の様な文庫サイズでも、鬼海弘雄氏のモノクロ写真から醸し出される存在感は変わらず、しばし被写体の人々との時間を共有している気持ちに...。表紙を飾るおばあちゃん、笑顔の写真は鬼海氏では珍しく、このさりげない微笑みもシャッターをきるまでの交流あってのものなのでしょうね。2015/07/21