内容説明
野草は人の耕した田んぼや里山を棲みかとして成長する。一方人間は、古くから野草を食料や薬や染料などとして活用し、その恩恵に与ってきた。本書は、生活に根づいた野草のなかでもとりわけ日本人になじみの深い50種をとりあげ、そのかれんな姿からは想像のつかない、したたかな「生き残り戦略」をユーモアあふれるエピソードで紹介する。精緻なペン画イラストも人気。
目次
田んぼの野草(セリ―毒と薬は紙一重;コオニタビラコ―比べられて鬼になる ほか)
畦道の野草(ハハコグサ―母と子の節句;チチコグサ―母と子にはかなわない ほか)
水辺の野草(カサスゲ―科学技術もかなわない;ヒシ―だから忍者は持ち歩く ほか)
雑木林の野草(フキ―かわいい春の使者;フクジュソウ―まだ来ぬ春を先取り ほか)
草地の野草(オニユリ―鬼と呼ばれた花の工夫;ノアザミ―国を救った英雄 ほか)
著者等紹介
稲垣栄洋[イナガキヒデヒロ]
1968年静岡市生まれ。岡山大学大学院農学研究科修了。農学博士。専攻は雑草生態学。農林水産省、静岡県農林技術研究所等を経て、静岡大学大学院教授
三上修[ミカミオサム]
1954年横浜市生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。自然科学全般のイラストを得意とする。2012年1月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinkin
72
ふるさとの自然を代表する植物50種が紹介されている。昔から人々と関わりの深いものも近年は外来種や園芸種の影響や環境の変化で絶滅の危機に瀕するものもおおいという。子供の頃にススキの葉で手を切ったりカラスノエンドウの鞘を鳴らしたりという経験も減っていると思う。いつもながら著者とコンビを組む三上修氏の挿絵の繊細さも魅力的な本だ。2017/04/26
壱萬参仟縁
38
2010年初出。左ページの繊細なペン画イラストも人気(裏表紙)。意外なことに、人の手が入っていない深山幽谷よりも、人の暮らすふるさとの自然のほうが植物の種類は豊かになるという(4頁)。たくましい雑草コナギは田んぼ以外では見られない(41頁)。古代人はコナギを染料、野菜として栽培していたという(42頁)。ノビルは蒜で、食べると辛くて舌がヒリヒリすることから称される(69頁)。スイバは酸い葉に由来。シュウ酸を含むため酸いようだ(90頁)。2016/06/17
ふろんた2.0
11
稲垣・三上コンビは最強ですね。2017/04/24
紺。。。
6
「身近な雑草〜」「身近な野菜〜」に引き続き読んでみた。相変わらず、擬人化された植物たちに愛着が沸く。ただ、「身近な雑草〜」と被る内容も多いので、目新しさは半減。2014/04/30
どん
5
再読。読み返しても楽しい。 本を読んでから歩くときに道端やのり面を見てしまう。 「価値あるものは、遠くにあるのではなく、私たちの足元にある」2023/02/05