出版社内容情報
22年間の書店としての苦労と、お客さんとの交流。どこにもありそうで、ない書店。30年来のロングセラー!
内容説明
22歳(1969年)ロックグループをやめ、小さな書店を始めた著者の奮闘記。置きたい本が入荷しない小さな店のもどかしさ。冊子『読書手帖』を作って客とふれあい、書店主同士で通信を作り交流。再び歌手を始めるまでの22年間で学んだ大切なこととは。文庫化にあたり、エッセイ8本と「早川書店」のブックカバー等を収録(絵=藤原マキ)。
目次
第1章 ぼくは本屋のおやじさん(ぼくは商売に向いていない;なぜ本屋に欲しい本がないのだろう;本屋にはいろんな人がやってくる;リュック背負って本を買いに;ぼくの店は急行の停まらない駅みたいだ ほか)
第2章 書店日記
第3章 文庫版のために(父は僕の本を一二四冊買った;わいせつの方法;立ち読みについて;飴置きおばさんの話;いごこち ほか)
著者等紹介
早川義夫[ハヤカワヨシオ]
1947年東京生まれ。元歌手(1967~69年)、元書店主(1973~95年)、再び歌手(1994年~)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
100
1982年に刊行された本に一部エッセイを追補して文庫化。元・ジャックスというグループのメンバーだった早川義夫さんが早川書店という個人経営の本屋を経営したときの顛末記。現在本屋はあるけれど本屋らしい本屋はどんどん少なくなり本だけでなくCDやDVD、文房具も置いてあって整然と本が並べられている本屋ばかりになった。小さいけれど味のある本屋、著者はそんな本屋を経営していたのだと思う。でも本屋というのは個人でやるにはけっこうしんど職業であることも様々なエピソードで知った。図書館本2021/03/02
ユメ
60
この本を読んで本屋を志した人は結構いるそうだ。最初はそれを少し不思議に思う。ほとんどが書店を経営していく上でのぼやき。ミュージシャンを辞めて「本にかこまれていたかった」著者が、甘くない現実に直面する記録なのだ。結局彼は、接客は自分に向かないと悟って音楽の道に戻る。でも「感動は決して芸術の中だけにあるのではないということを学ぶことができた」スポットライトの華やかさを知る人がこう感じるのは、凄いことではなかろうか。日々の苦労の隙間に小さな感動の発見が零れ出ているから、やっぱり本屋っていいな、そう思わされる。2015/02/25
へくとぱすかる
49
単行本で出たときは、本当に本屋のおやじさんだったのですが、今は歌手にもどった、という、かつてない履歴をもつ著者の本。「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」というアルバムから受ける印象とのギャップを感じながら読んだものの、やはり音楽から受ける人柄と同じなのだな、と印象をあらためた。それにしても、個人経営の書店がつぶれていく現状を思うと、活字文化はどこへ行くのだろう。著者は経営の大変さを描くものの、発行当時は紙の本そのものの危機、というところまでは予想できなかっただろう。さて早川さんの歌を聴こうか。2015/01/09
Y2K☮
34
舞台は70年代から90年代前半ぐらいまでの街の本屋。改めて抱えている問題がずっと改善されていないと感じた。個人経営店の新規オープンが増えているようだけど、その多くはいわゆる独立系で週刊誌や学参や地図などを扱わない。一方、昔ながらの本屋さんはチェーン店と品揃えが被り、なおかつ在庫量で劣るから苦しい。カフェ併設やイベント開催が現実的ではないケースもあるだろうし、やはり入荷数と利益率の適正化が望ましい。ところで出版社や取次まで直接出向いて本を仕入れるやり方は知らなかった。その慣習は現在も残っているのだろうか? 2025/05/12
ウィズ
28
本屋さんがいかに大変かよくわかり、また、著者の本にたいする誠実な姿勢に好感がもてた。2014/04/19
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