出版社内容情報
歴史の残骸のように眠る本の山。その中から現在を生きる糧は見つけ出せるのか? 古今東西の様々なジャンルの本を縦横無尽に読み解いてゆく。
内容説明
図書館に眠る書物の残骸。書店に氾濫する新刊書の群れ。その玉石混交の中から、「ポストモダン」の現代を生きぬく本を掬い出す。希代の本読みが、毒舌さわやか、愛情まったりと、埋もれた歴史書から最近のベストセラーまで、古今東西、ジャンルを超えて自由自在に泳ぎまくり、いつしか本の墓場は、豊饒な本の海へと変貌する。PR誌「ちくま」連載「珍本通読」に加筆した文庫オリジナル。
目次
第1章 変配の章(ポストモダンの読書の楽しみ方;女流作家たち ほか)
第2章 直観の章(モダンの終焉;美人伝の時代 ほか)
第3章 世界化の章(歴史の中に「世界化」の意味を探る;中華・グローバリゼーション ほか)
第4章 壊造の章(白日性の時代を生きる;超越論への懐疑 ほか)
著者等紹介
古田博司[フルタヒロシ]
1953年横浜生まれ。慶應義塾大学大学院修士課程修了(東洋史専攻)。延世大学、漢陽大学などで日本語講師を務める。滞韓6年の後、帰国。現在は筑波大学大学院教授。著書に『東アジアの思想風景』(サントリー学芸賞)、『東アジア・イデオロギーを超えて』(読売・吉野作造賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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SOHSA
17
著者が本書で意図しているところがちょっとよくわからない。著者自身はまえがきで「内容はバラバラであり、時代も地域も分野も限定されていない。それらを離れて、書物を紹介するというのが当初の趣旨だったからである」と書き一方では「読書によるポストモダンの航海術である」と述べる。一編一編は興味深いものもあるが全体を通じてみるとよくわからない。昼下りに馴染みの喫茶店で隣の客が議論しているのを聞いているような気分でなんともすっきりしない。残念だ。時間をおいて再読したい。2013/06/14
ぽん教授(非実在系)
3
うちの大学の他学にてすごくお世話になってる教員が、授業中に「本を出した」と仰ってたので購入・読破。相変わらずの知識量、しかも分野なんて簡単にまたいでしまう自由な航海は自分の分野である図書館情報学を彷彿さえする。ドイツ観念論やマルクス主義に代表される近代のくだらなさを認識し、かといって脱構築には陥らないようにするには・・・というポストモダンをしぶとく生きる方法が、簡単には手に入らないが、少なくても現時点での道しるべくらいにはなってくれる、という意味で最先端の内容でもある。やりたかったことを先回りされた気分←2013/01/21
こぼこぼ
1
古今東西の書物について著者は縦横無尽に語り尽すが,やはり「世界化の章」が白眉かなぁ。後,ニヒリズムについてブッダや聖フランチェスコを例として挙げているが,著者自身が中々のニヒリストだと思いました。2013/05/30
のんき
1
ここに書かれていることを楽しむには書物についての蓄積がまるで足りないことを痛感してしまい悲しいのだけれど、著者のこういう広い分野を渡り歩くような伸びやかな書物とのつきあい方には憧れる。2013/04/03
りり課長
0
85P2015/07/30