出版社内容情報
ルキアノスから、デフォー、メリメ、ゴーチエ、ゴーゴリ……時代を超えたベスト・オブ・ベスト。岡本綺堂、芥川龍之介等の文豪の名訳も読みどころ。
内容説明
古今の怪奇幻想文学の中から厳選に厳選を重ねて編まれた3巻本アンソロジーの本書は「怪奇」篇。世界最古の怪談会小説として知られるルキアノスの作品に始まり、デフォー、メリメ、ゴーゴリ、モーパッサンなど文豪中の文豪たちによるベスト・オブ・ベストな怪奇小説を、岡本綺堂、神西清、平井呈一らの歴史的名訳によって1巻に結集。
著者等紹介
東雅夫[ヒガシマサオ]
1958年神奈川県生まれ。アンソロジスト、文芸評論家。元「幻想文学」編集長、現「幽」編集長。ちくま文庫「文豪怪談傑作選」シリーズの企画編纂をはじめ、編纂監修書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
42
怪奇小説アンソロジー。怪奇小説を読む上でこれは基本という古今の名作だけが収録されており、どのような層でも安心して読むことができる。ただそれが仇となりある程度読んだ人間にとっては、ほぼ既読のものばかりである。それでも読んでしまうのは再読に耐える話ばかりだからか。やはり「猿の手」は最高の出来だし、「蜘蛛」のだんだん取り憑かれていく様子もたまらない。「幽霊屋敷」みたいに疑似科学でグダグダになる作品もあれば、初読の「羽根まくら」はバカホラー。各人一編は気に入る作品が出来ると思うので、一度は読んで欲しい一冊である。2013/05/28
藤月はな(灯れ松明の火)
39
10話程、既読。「アッシャア家の崩没」は古風な訳文に詩がぴったりでよかったです。倉阪鬼一郎氏が翻訳した「猿の手」はホワイト氏が掛けた最後の願いについて言及されていないので有栖川氏のように想像の膨らむ方もいるのかなと思いました。「羽まくら」は生理的にぞっとします。モーパッサンの「オルラ」は催眠術による自己への不信から何か感知できないものがいると気づく過程とある予測で知る恐怖の描き方に息を呑みます。「闇の路地」はある土地の不思議さに人間がかかわることで恐怖が生み出され、呪いとなる怖さに戦慄します。2013/03/26
miroku
20
ハーンが世界一怖い怪談と言った、リットン卿の「幽霊屋敷」のを読む。あまり怖いとは感じないが、これは時代の違いか・・・。2014/04/30
かわうそ
13
ホラーではなくあくまでも「怪奇小説」と呼びたくなる格調高い翻訳で歴史的な名作を味わえる贅沢な作品集。いくつかあった既読作品もこの並びで読むと印象が少し変わったりするのが楽しい。「クラリモンド」「蜘蛛」「闇の路地」あたりが特によかった。2013/10/29
misui
13
有名どころが揃い踏み。新味はないけど一堂に会すると異様だし、なによりこのボリュームには圧倒された。取りこぼしていた作品も拾えて嬉しい。収穫はメリメ「イールのヴィーナス」、後半の破綻が妙に気にかかるリットン「幽霊屋敷」、気持ち悪いアラルコン「背の高い女」、気持ち悪いキローガ「羽根まくら」、ジャン・レイ「闇の路地」。リットンとキローガは他の作品にもあたってみたい。それとベルギー幻想派作家はもう少しきちんと紹介してもらえれば。2013/02/05